外貨建てMMFを保有している投資家は特に必見―税制改正の投資リターンへの影響

この記事の読みどころ

2016年から金融所得課税の一体化が始まります。

今回の改正を受けて、外貨建てMMFをはじめ外貨建て公社債や公社債投信を保有しているなら、改正前の2015年内に利益を確定することは検討に値します。

税金は投資のリターンに少なからず影響を与えます。金融商品の税制はよく変更になるので、投資のリターンを上げるためにも、税制変更のニュースには敏感になっておきたいものです。

金融商品にまつわる税制

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2015年も残るところ2か月あまりとなりました。気が早いマーケットでは、「来年の相場は・・・」など、鬼に笑われそうなフレーズが聞こえてくる季節です。鬼の笑い声を聞くのも良いですが、2015年のうちにやっておかないといけないこともありそうです。

今回は税金の話になりますが、金融商品と税金とは切り離して考えることはできません。投資家にとって税引き後の投資リターンが最も重要だからです。

「〇〇の利益は△△の損失と相殺できるけれど、□□の損失とは相殺できない」など話題に出ることもあるでしょう。しかし、税金の話は、一般的には複雑で「なぜこうなったのだろうか」と頭をかしげることも多いのではないでしょうか。

加えて、毎年のように細かい部分で変更がなされるため、気づいたら変わっていたということもあります。そのため、毎年秋には、翌年以降の税金の変更点を最終確認する必要があります。

2016年から始まる金融所得課税の一体化は大きい改正

来年2016年からは、金融所得課税の一体化が始まります。けっこう大きな改正で、これまでばらばらだった金融商品の税制をまとめようというものです。

一言で言えば、公社債や公社債投信の損益と、上場株式や公募株式投信の損益は、これまで別物扱いでしたが、2016年からは一緒にしましょう、ということです。

外貨建てMMFに大きな影響

この改正で一番影響が出るのは外貨建てのMMF(マネー・マーケット・ファンド)です。外貨建てMMFは公社債投信ですから、これまでは、売却する際の譲渡益は為替差益の分も含めて非課税とされていました。

それが、2016年からの一体化により、他の金融商品と同様に、譲渡益に対して約20%(注)の税金がかかるようになります。

(注) 厳密には復興特別所得税込みで20.315%ですが、細かいので約20%とします。

1USドル=100円の頃に100万円分の外貨建てMMFに投資し、その後、1USドル=120円まで円安になったとします(金利は低いので利子を無視します)。2015年のうちに売却すれば非課税ですから、譲渡益の20万円(120万円-100万円)はそのまま手取りとなります。

ところが、2016年になってから売却すると、譲渡益の20万円に対して約20%課税されるので、手取りは16万円になります。ちょっとしたタイミングの差で、投資リターンを4%押し下げてしまうことになります。

もし外貨建てMMFを保有していたらどうするか

もし、円高の時に購入した外貨建てMMFを保有し、譲渡益が出そうな場合は、2015年内に一旦売却することは検討に値します。

「さらに円安が進んで、1USドル=130円になると見込んでいるのに・・・」という方も、一旦売却した上で再投資すれば、ここまでの為替差益分は、非課税の状況で確定することが可能です。

逆に、円安の時に購入したために譲渡損が出そうな外貨建てMMFの売却を考えている場合は、2016年になってから売却した方が良いかもしれません。値上がり益が出ている上場株式や公募株式投信の利益と相殺できるかもしれないからです。

外貨建てMMFと同じことは、外貨建ての公社債や公社債投信についても言えることですので、保有されている方は、今売却したらどのくらいの譲渡益が出そうかチェックしてみることをお勧めします。

税制改正が投資のリターンに影響する

金融商品への投資のリターンを考えるにあたっては、金融商品そのものから得られるキャピタルゲイン(値上がり益)やインカムゲイン(利子や配当など)だけでなく、投資にかかるコストにも気を配る必要があります。

コストには手数料のほかに税金もありますが、今回ご紹介したケースのように、税金はけっこう大きなインパクトがあります。これからも税制の改正は続くものと思われます。投資のリターンを上げるためにも、税制改正のニュースには敏感になっておきたいものです。

【2015年10月28日 藤野 敬太】

■参考記事■

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藤野   敬太

東京大学経済学部を卒業後、プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント(現日本アイ・ビー・エム)等を経て、2001年から2013年まで、日興アセットマネジメントにて、アナリストおよびファンドマネージャーとして日本株ファンドの運用に従事。
現在は、オフィス・ラコルドの代表として、ファミリー向け・ファミリービジネス向けのコンサルティングおよびアドバイザー業務を展開する。
CFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、シニア・プライベートバンカー(日本証券アナリスト協会認定)。