世界の株式市場が総じて上昇した1週間

先週(2015年11月2日‐11月6日)の世界の主要株式市場は上昇しました。

まず、上海市場がしっかり上昇しました。マクロ指標は引き続き軟調ですが、金融政策、経済外交を含めた景気対策などに期待が高まっているようです。

日本では郵政3社の株式が上場され順調に推移しました。IPOに参加した個人投資家には含み益が出ていて明るい材料です。

また、日本企業の業績発表が佳境にありますが、利益成長のペースが鈍ってきました。

北米、ドル高、資源安、インバウンドをメリットにした企業と、そうでない企業に業績の差が出てきています。新興国の景気停滞や通貨安がマイナス要因になった企業も見受けられます。

欧米では、週末の米国の10月雇用統計が事前の期待より強い雇用回復を示しました。

速報値はブレが大きいため評価は来月の改定値を待つ必要がありますが、米国の12月の利上げ実施が現実味を帯び、ドルが全面高に、そして欧米の長期金利が上昇しています。

先週の主要市場の動き
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注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示

年初来の主要市場の動き
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注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示

今週も中国の景気動向と米国の利上げ観測がもたらす影響から目が離せない

今週(11月9日‐11月13日)の注目は、中国の景気指標、米欧金融当局の発言、そして日本のメガバンクの決算です。

11日には10月の中国鉱工業生産などの発表とドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の講演、12日にはイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の講演、13日には日本のメガバンク3行の決算が予定されています。

年初来の主要市場の動きからは、S&P500の株価が他市場に比べて出遅れていることが分かると思います。

米国では雇用が回復し利上げが近づいていますが、資源安・新興国の低迷・ドル高が企業業績のマイナス要因になっている面があり、これが株価の上昇を抑制していると思われます。

現状からさらにドル高が進むと、こうした影響が強まることでしょう。米企業にとって、ドル高に打ち勝つだけの海外市場の成長、特に中国の景気底入れが望まれます。

日本企業にとっても中国とアジアの景気底入れが下期以降の業績を決める大きな要因になりますから、中国景気は重要です。

また、年初来のドル円相場のパフォーマンスがプラスになってきました。

昨年の日銀によるハロウィーン緩和以降、ドル円相場は120円台まで円安が進み、その後一進一退を繰り返してきました。ドル高円安が進むのであれば、輸出企業には円安メリットが出るはずです。

ドル相場の行方に注目が集まりそうです。

LIMO編集部