株式市場の過熱感を知るバフェット指標―安倍政権がGDP600兆円を狙う理由とは

読者に伝えたい3つのポイント

有名なバフェット指標(バフェット・インディケーターとも呼ばれる)は、時価総額を名目GDPで割ることで株式市場の過熱感を知ることができるものです。

株式の買いのエントリーは時価総額がGDP比50%、100%を超えれば売るというタイミングです。

2012年末以降のアベノミクス相場に乗った投資家は、今後は積極的に買いに行くよりも、利益確定の局面を真剣に検討するタイミングと言えるでしょう。

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名目GDPと株式市場の時価総額の関係

海外の投資家の間では特に有名な指標があります。それがバフェット指標(バフェット・インディケーターとも呼ばれる)です。この指標は、時価総額を名目GDPで割ることで株式市場の過熱感を把握するために活用されます。

一般的には、株式の買いのエントリーは時価総額がGDP比50%、また同比率が100%を超えれば売るというタイミングを計る際に使われます。

内閣府と東京証券取引所のデータをもとに計算をすると、過去の日本のケースでは、1998年や2003年の時価総額÷名目GDPでそれぞれ47%、50%のタイミングで株式を購入し、その後それぞれ1999年、2005年で売却すれば相当のキャピタルゲインが得られたことが分かります。

では、日本の現状はどうでしょうか。2015年10月末時点では、2015年6月末時点の名目GDPで割り戻すと116%となっています。2015年5月末時点でピークの124%となっていますが、これは1994年以降で最も高い水準(過熱している状況)です。

現状は、特に2012年末以降のアベノミクス相場に乗った投資家は、今後は積極的に買いに行くというより、利益確定を考える局面を真剣に検討するタイミングと言えるのではないでしょうか。

なぜ安倍政権はGDP目標を600兆円と言うのか

先日安倍政権はGDP600兆円という目標を発表しました。はて、そんな数字を実現できるのであろうかとお考えの人も多かったと思います。

一方、これまでアベノミクスによるインフレも伴って名目GDPもさぞかし回復したかと思いきや、実際の足元の名目GDPは500兆円程度であり、1997年の520兆円越えの水準には達してもいません。

現状から名目GDPを600兆円に到達させるためには、さらに+20%成長させなければならないことになります。金融緩和を実施した分は名目GDPも成長させたという印象がありますが、実際はそうはなっていません。

逆に、現状の株式市場の時価総額を正当化させようとするのであれば、名目GDPは600兆円くらいになっていないといけません。それだけ、現状の株式市場は過熱感が強いという読み方もできます。

名目GDP目標の600兆円は難しいが頑張る方法を探る

安倍政権にとって、表面化する成長戦略を見る限りでは、外需をしっかり取り込むというのはメインシナリオではなくなっていると思われます。

なぜならば、名目GDPのうち輸出が占める割合は17%に過ぎず、現在の日本企業が持つ品揃えの中で、世界で売れるものを探すことは難しいのが現状ではないでしょうか。

従って、内需を刺激させるのがもっとも効果的です。先般大筋合意に達したTPPですら、海外に向けて輸出しやすい環境を整えるというよりも、国内での消費を活性化させるための準備と思えなくもありません。

最近の安倍首相は、唐突に通信料金の水準に言及するなど、国内消費をどうしたいのか計りかねる発言もあります。

しかし、可処分所得の中の通信料金比率を引き下げることができれば、他に大きな波及効果をもたらす消費をしてくれると見ているかもしれません。いずれにせよ、今後の経済成長を促すのは内需刺激策でしょう。

【2015年11月10日 投信1編集部】

注:本記事は個人投資家向け経済金融メディアLongine(ロンジン)の記事をダイジェスト版として投信1編集部が編集し直したものです。

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投信1編集部

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