「コスパ」で考えると意思決定を間違えるたった一つの理由

この記事の読みどころ

最近の若者の声として、一部では「結婚はコスパが低い」などと言われます。

コスパという言葉は、「フランス料理よりも吉野家の方がコスパが高い」などという使い方もされます。

しかし、その意思決定は正しいのでしょうか。議論に一石を投じてみます。

コスパとは何か

コスパ(コストパフォーマンス)とは、wikipediaによれば、

あるものが持つコスト(費用)とパフォーマンス(効果)を対比させた度合い。コスパやCPと略されることもあるほか、費用対効果や対費用効果ともいう。

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(中略)

数値を算出する場合は、効果を費用で割る。すなわち、費用が安く、効果が高いほど、コストパフォーマンスが高い。コストパフォーマンスの略はCPと表現されていた。

とあります。

つまり、100円使って効果が100(コスパは1)のものよりも、10円で効果が20(コスパは2)の方がコスパは高いわけです。

効果そのものの絶対値ではなくて、費用1単位当たりの効果で考えるのがコスパ、すなわち費用対効果なのですね。

使われ方としては、「今日の店、3千円でこの料理ならコスパ高くない?」とか、「結婚はコスパが低いからしない」「フランス料理より吉野家の方がコスパは遥かに高い」という感じです。

結婚はコスパが低いのか

一時期、ネット上では「結婚はコスパが低いのか」という論争が起こっていました。

「いやいや、料理を作ってもらって、老後の面倒を見てもらうことを考えたらコスパは極めて良い」などと言い出す人もいて、かなり迷走・炎上していたようです。

もう、コスパの話ではなくて、女性観とか人生観の話になってしまっています(笑)。

個人的な意見を言わせていただければ、結婚することで得られる安らぎ、そして何よりも子供のかわいさが桁外れであるため、例えそのコストが何千万円であっても「コスパは極めて良い」と考えています。

ただ、これは相手に恵まれたこともあり、「リスクは高いかもしれない」とも思います。

こういうと、コスパ派からは「何千万円とか、絵空事を言わないでくれ」と反論が来そうです。

そう、現実には限られた給料の中で、自由を失ったり小遣い制を導入されるコストと効果を比べて考えなくてはいけないので、議論はもっとシビアです。

結論を出す前に、もう一つ例を見てみましょう。

フランス料理と吉野家

何万円も払ってフランス料理を食べるよりも、300円(値上げ後は380円)の吉野家の方がコスパは高いという主張です。

値段は100倍になっても、味の良さはきっと100倍にはならないので、これは一見、正しそうですね。フランス料理も確かにうまいけれども、吉野家もそれなりにうまいじゃないかと。だからコスパが良いと。

実はこれが、コスパでものごとを考える限界を示していると思います。

結論を言ってしまうと、コスト(費用)とパフォーマンス(効果)は実は比例しないんです。そこには、限界効用逓減(ていげん)の法則が働くからです。

限界効用の逓減

限界効用とは、「通常、ある財の消費量の増大と共に、その効用の総量も増加するが、その財一単位当たりの効用の増加量が次第に減っていく(=限界効用逓減の法則)、その最終単位による効用の増加量」のことです。

ちょっと何を言っているのかわかりませんよね。

専門用語を使わずに言えば、「みかんを1個貰ったら嬉しいし、1個よりは2個の方が嬉しいけれども、1個目の時の嬉しさほどには、2個目のみかんは嬉しくない」ということです。

ちょっとずつ、喜びが減るんです。10個目とかほとんど、何も感じないですよね。マイナスではないですけど、喜びはゼロに近い。効用の増加量が逓減しているんです。

それで、同じ1個なのでまあ厳密には違うのですが、これと同じことが高級品の消費にも言えると考えられます。

吉野屋の牛丼の2倍の美味しさを得ようと思えば、お金は3倍・4倍とかかってしまいます。そこは比例しないんです。算数が得意な人には効用は二次曲線を描く、でご理解いただけるかもしれません。

コスパでは高額商品を評価できない

従って、コスパで評価すると「安かろう、そこそこ良かろう」のモノが常に勝ってしまいます。高額商品は全て、コスパが悪いことになります。

実は世の中は、そのようにできています。最初から、単純に効果を費用で割ってはいけないんですよ。

なので、コスパで評価して良いのはあくまで価格帯が近いもの同士だけです。

3千円と3千500円の居酒屋で料理が見劣りしないなら、前者の方がコスパが良いというのはあり得ます。高級フランス料理の店と比べるには、そもそもコスパという指標を使うのは適切ではありません。

ということで、不毛なコスパ論争には終止符を打ちましょう。そして、結婚も高級フランス料理も、一度は試してみてはいかがでしょうか。

その上でやはり、「あんなもん、割に合わねえよ!」という持論に達するのであれば、それは尊重されるべき見識になると思います。

それでは、また。夢とお金の専門家、シナジーブレインの安田 修でした。

【2015年11月12日 安田 修】

■参考記事■

>>資産運用の始め方に迷ったらとりあえずバランス型投資信託

>>失敗しない投資信託の選び方:おさえるべき3つのNGと6つのポイント

 安田 修
  • 安田 修
  • ㈱シナジーブレイン
  • 代表取締役

(社)人生計画協会」代表理事、中小企業診断士、GCS認定プロフェショナルコーチ、証券アナリスト、AFP他。

北海道大学卒業後、日本生命に15年勤務。企業財務を中心に経験。ビジョンとキャッシュフローの「全員経営」で中小企業の経営をサポートする一方、サラリーマンの起業を支援するための会員制度「人生計画フォーラム」を主催。