ついに時価総額1兆円割れの東芝:これから注意すべきポイントは?

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2016年3月期は5,500億円の最終赤字に

2015年12月21日に東芝(6502)は、「新生東芝アクションプラン」と、これまで開示していなかった2016年3月期の業績予想を発表しました。営業損益は▲3,400億円の赤字、最終損益は5,500億円の赤字見込みです。

大幅赤字の理由は、パソコン、薄型テレビ、白物家電で構造改革費用が発生すること、繰延税金資産が取り崩されることに加え、同社の最大の収益源であるNANDフラッシュメモリーの採算性が市況悪化により大きく低下することも影響しています。

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財務体質が急速に悪化する見通し

今回の発表で最もショッキングであったのは、2016年3月期末のネットDEレシオ※が340%(前年同期は105%)に急上昇する見通しが示されたことでした。大幅な赤字により株主資本が急減する一方で、キャッシュフローの悪化によりネットデットが急拡大するためです。

(有利子負債-現預金)÷株主資本

時価総額は1兆円を割ってきた

大幅赤字転落発表後の22日の株価は223.5円、前日比▲12%で引け、時価総額はついに1兆円を割り込み9,471億円となりました。ちなみに、ライバルである日立(6501)の時価総額は3.4兆円です。

発表直前の週末に、すでに5,000億円規模の赤字になる報道がありながら、なかなか株価が下げ止まらない理由としては、上記の財務体質の悪化が明らかになったことに加え、赤字額がさらに拡大する可能性が懸念されていることや株主資本の修復策が明確になっていないことなどが推察されます。

依然として無視できないほど大きい原子力のれん減損リスク

2015 年11月末時点の「のれん」残高は6,600億円です。このうち原子力は3,500億円ですが、同社では2016年1~2月により保守的な予想を前提にした減損テストを行う方針を示しています。

減損テストの結果次第では、さらに赤字額が拡大する可能性を会社側も明確には否定しませんでした。

ヘルスケア事業の売却を決定

今夏に社長就任以降、室町社長は毀損した財務体質を改善させるために、制約を設けず事業ポートフォリオの見直しを行う考えと表明してきました。

実際、21日の発表では、ヘルスケア事業の中核子会社である東芝メディカル社の一部あるいは全面的な売却を行う考えが示されました。

一方、以前説明会で言及があったNAND事業のIPOによるカーブアウトの可能性については、現時点では検討していないとされました。

ヘルスケア事業の2016年3月期の業績見通しは売上高が4,400億円、営業利益が150億円と規模も比較的大きく黒字ビジネスであるため、買い手が見つかりやすいことが白派の矢が立った理由と推定されます。

なお、NAND事業については収益の柱として残したいと考えたか、あるいは単価下落により足元の採算性が低下しているためもう少し待って高く売ろうと判断したことが、見送りの理由と考えられます。

今後、注視すべきポイント

まずは、今年度中に予定されている原子力の減損テストの結果が注目されます。

次に、資本増強策がメディカルの売却だけで十分かを注視する必要があります。十分でない場合はNANDの売却も必要となり、エネルギーとストレージをコアに回復を目指す「新生東芝アクションプラン」は根底から崩れることになります。

また、財務体質の改善のために、シャープ(6753)が行ったような優先株を発行しデットエクイティスワップが行われるリスクにも注意すべきでしょう。これが行われると既存株主は希薄化によるデメリットを被る可能性があるためです。

以上のように、依然として不確定要因が多すぎるために、株価は大幅に下落しましたが、個人投資家が長期投資の対象として考えるのは避けたほうがよさそうです。

参考:過去10
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【2015年12月22日 投信1編集部】

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投信1編集部

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