アサイーで有名なフルッタフルッタ。リオ五輪で株価は化けるか?

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ブラジル訪問でアサイーに出会う

フルッタフルッタ(2586)は2014年12月に東証マザーズに上場した食品メーカーです。社名のフルッタは、ブラジルの公用語であるポルトガルでフルーツのことであり、2つ並べることで、果物が沢山というイメージを表しています。

筆者は、製造業(主にエレクトロニクス)をカバーする証券アナリストですが、今回は食品メーカーについてコメントします。なぜ興味を持ったかというと、最近、ブラジルを訪問した際に「アサイーパウダー」を現地駐在の方に勧められて購入したことがきっかけでした。

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「アサイー? 今さらですか」という読者の方も多いと思いますが、それほど健康に関する「食」に興味はなく(どちらかというと無頓着)、流行にも敏感でない筆者は、最近までアサイーの存在や、「スーパーフルーツ、スーパーフード1」についても知りませんでした。

注1:ブラジルなど南米を原産地とする、栄養価が非常に高く希少な果実類のこと

帰国して大学生の娘にお土産として渡すと、「いいね~」という言葉が返ってきましたが、その後アサイーパウダーをヨーグルトに混ぜて食べていたのは私だけだったところを見ると、彼女にも“今さら感”があったのでしょう。

余談ですが、「アサイーと伸ばすのが正しく、アサイではないよ」というアドバイスも貰いました。

アサイーパウダーを食べてみた

ご存じの方も多いかもしれませんが、簡単にアサイーについて解説します。アサイーは、見た目(色、形)はブルーベリーのようですが、植物学的にはベリー系ではなくヤシ科の食物です。

ポリフェノール、ビタミン、ミネラルが豊富であるため、健康によいとされています。ただし、アサイーパウダーには味はほとんどありません。

フルッタフルッタは2014年12月にIPOをした新興企業

アサイーを食べるようになってから数日後、2014年12月に新規上場した銘柄の株価パフォーマンス(2014年12月30日終値~2015年12月16日終値)を調べる機会があり、その中に同社がありました。結果は騰落率▲66%で、28社中下から4番目とかなり下位でした。

変わった名前なので気になって調べてみると、主力事業はアサイーなどのアマゾンフルーツ食品の原料の輸入販売およびNB(ナショナルブランド)の製造・販売であり、アサイーを日本に初めて普及させたパイオニア企業であることがわかりました。

アサイーブームが始まったばかりの筆者には何か縁のようなものが感じられましたので、食品セクターの証券アナリストではありませんが、公開情報を読み解くことに加え、同社のIR部門への電話取材も行ってみました。

株価下落の主因は2度の業績下方修正

まずは業績ですが、あまり芳しくありません。同社は2014年12月17日に東証マザーズに上場後、2015年2月と11月の2回、業績予想の下方修正を発表しています。

2016年3月期通期予想の下方修正を発表した上期決算資料では、業績悪化の要因として、2014年のブラジルでのサッカーワールドカップで過熱したアサイーブームの反動減が想定以上に大きかったという説明があります。

同社は10年以上前から日本でアサイーを普及させてきましたが、残念ながら、上場時期はアサイーブームのピーク後であったようです。

アサイーカンパニーからスーパーフードカンパニーへ転換を目指す

決算資料には、アサイーのブームは一巡してきたことを率直に認め、次の打ち手としてアサイー以外のブラジル産「スーパーフード」の拡販を強化していく方針も言及されていました。

具体的には、ピタヤ、カカオ、クプアス、アーモンドミルク、カシューミルク、チアシード、ゴジベリー、ゴールデンベリーなどの新商品の投入を今下期に一気に行う計画です。

また、アサイーについても、スーパーフードの認知度の高まりと市場拡大に伴い、再び回復する可能性は十分にあることが示唆されていました。

濃厚さが差別化ポイント

実際、筆者もイトーヨーカドーの食品売り場に行って商品棚の様子を観察してきましたが、比較的目立つ場所に商品が置かれており、アサイーの需要は健在であることが確認できました。

少し気になったのは、同社製以外にスジャータ(めいらくグループ)の商品も置かれていたことです。後で会社側に確認すると、数多くの食品メーカーに原料は卸しているが、スジャータには卸していないとのことでした。

同社は、「グロッソ」という最も濃度が高いアサイーピューレを使うことで、スジャータとの差別化を図っているとのことです。また、同社の原料を使った他社製品には、同社のロゴを商品パッケージに記載するIN-Branding戦略を推進し、ブランド認知の向上に努めているということです。

環境経営企業でもある

公開情報を読み解く中で興味深かったのは、同社の長澤誠社長の経歴や環境経営への思いでした。長澤社長は大学卒業後に京セラへ入社し、その後、外資系企業、実家の食品メーカーを経て同社を起業しています。

実家の食品メーカーに勤務している時、ブラジルでのアグリフォレストリー2に偶然出会い、そこでブラジルの食品原料を日本で販売することが、自然環境の保護に繋がるという考えから起業をしています。CSR経営といった観点からも注目できそうです。

注2:樹木を植栽し、樹間で複数の農作物を栽培する農林業

2016年夏にはリオデジャネイロでオリンピックが開催されるため、ブラジル産のアサイーやスーパーフードに対して消費者の関心が再び高まる可能性があります。同社は時価総額13億円という超マイクロキャップ企業ですが、今後の動向を注視したいと思います。

参考:過去1年間のフルッタフルッタの株価推移
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【2015年12月21日 投信1編集部】

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投信1編集部

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