レアル急落と分配金引下げに泣いた2015年。2016年はポートフォリオ見直しの年に―教えて篠田さん(第4回)

レアルの急落と分配金引下げに泣いた2015年

2015年は、上半期こそ心地良い投資環境が続きましたが、8月の「チャイナショック」で状況が一変しました。特に、アベノミクス相場やNISAの制度開始を機に投資信託を始められた方にとっては、初めて経験する大荒れ相場だったと思います。

さらに、米国の利上げのタイミングを探る動きや、不安定に推移した原油価格、国際的なテロの発生による政治リスクも露呈し、下半期は海外の大きな動きに振り回された形となりました。

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こうした投資環境の中、投資信託の世界では、ブラジル・レアルの急落と、それに伴う「超高分配」ファンドの苦戦が2015年を象徴する大きな出来事だったと言えるでしょう。

毎月200円以上など高水準の分配を行う「超高分配」ファンドの多くは、高利回り資産への投資に加えて、ブラジル・レアルなどの新興国通貨の為替取引とオプション取引も活用し、収益原資・分配原資を確保してきました。

しかし、今年7月以降、レアルとトルコリラを中心に新興国通貨が急落に見舞われ、基準価額を大きく押し下げました。原資産である国内株式やリートに一時期ほどの騰勢が見られなったこともマイナス要因となりました。

シンプルなインデックス連動型ファンドや、決算回数が年1、2回の「非・定期分配型」ファンドであれば、基準価額の下落時に追加購入することで平均取得単価を下げ、将来的な反発に期待するという選択肢もありますが、カバードコール戦略を活用した毎月分配型でこの方法はあまりおすすめできません。

カバードコール戦略とは、将来のある水準以上の収益機会を手放す代わりに、対価として現実の収益を受け取る戦略です。

この対価は一般的に、「(オプション)プレミアム」などと呼ばれます。カバードコール戦略を用いると、プレミアムを受け取ることができる反面、利益が一定水準に抑えられ、基準価額の大幅な値上がりを期待しづらくなります。特に、高水準の分配を継続しているファンドほど基準価額の回復には時間がかかります。

既にレアルは底値圏だとの見方もある中、「今後のレアルの反発に期待したい」ということであれば、為替取引を活用した毎月分配型ではなく、ブラジルの株式やレアル建ての債券に投資するシンプルな仕組みのファンドを選び、反発局面で素直にリターンを享受することをおすすめします。

2016年はポートフォリオ見直しの年に

ハイイールド債券、リート、ブラジル・レアル・・・目先の分配ばかり追い求めた結果、保有投信のポートフォリオが極端に米ドル建て(アメリカ)資産に偏っていたり、基準価額が軒並み下落していたりという方も少なくないと思われます。

大幅な損失が出てしまうと、そのマイナス分を取り戻すために多大なエネルギーを要します。2016年は、大きく「負けない」ことに視点をシフトさせてみてはいかがでしょうか。

1)今こそ資産形成の土台を作る

2015年は、DC専用ファンドの一般展開や低コストインデックスファンドの新シリーズの誕生など、コスト効率の良いファンドの選択肢が増えました。

ポイントは、インデックス連動型だけでなく、市場環境に応じて資産配分を変動させるバランス型や、アクティブ型のファンドにもコストダウンの波が押し寄せているという点で、この流れは2016年以降も続きそうです。

資産形成の原点に立ち返って、ベース資産となるポートフォリオを作ることから始めてみましょう。銘柄分散のほか、積立を活用した時間分散も効果的です。

2)テーマものは様子見

足元では、ロボット・人工知能関連のテーマが注目されており、ブームを形成しつつあります。しかし、米国でベンチマーク(と相応の市場規模)が存在するバイオ・医薬品などとは異なり、このテーマはまだまだ未知数だというのが個人的な見解です。

テーマがテーマですので、単なる景気敏感株の寄せ集めになるのではないかという懸念もあります。買付手数料の高さも気になるところですので、すぐに飛びつくことはないと考えています。

【2015年12月15日 篠田 尚子】

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篠田 尚子
  • 篠田 尚子
  • 楽天証券経済研究所
  • ファンドアナリスト

慶應義塾大学法学部卒業後、国内銀行にて個人向け資産運用相談業務を経験。
2006年よりロイター・ジャパン(現トムソン・ロイター・マーケッツ)傘下の投信評価機関リッパーにて投資信託のデータ分析、評価、市場調査を担当した後、2013年11月楽天証券経済研究所入所。
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。