観光立国は道半ば、訪日外国人数は2015年の倍増も可能と言える根拠とは

この記事の読みどころ

2015年の訪日外国人数は2,000万人に迫る勢いです。2013年からわずか2年間でほぼ倍増したことになります。

しかし、世界基準で比較する限り、日本の観光客数は決して多くはなく、むしろ少ないと言えましょう。今の倍増となっても全く不思議ではありません。

日本はまだ観光後進国です。真の観光立国を目指すならば、官民一体となった施策が必要となります。

2015年の訪日外国人数は2,000万人に達する勢い

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日本を訪れる外国人旅行者(以下、訪日外国人)の増加は止まるところを知らない状況です。2015年1-11月累計では対前年同期比+48%増となっており、まだ12月が残っているものの、2,000万人に迫る勢いが続いています。

2013年に初めて訪日外国人が1,000万人に達してから、わずか2年で倍増したことになります。2015年は、7月に起きた上海株式市場の暴落で中国人旅行者の減少が懸念されましたが、現時点ではその影響は極めて限定的となっています。

安倍首相も次なる目標に3,000万人を掲げる

この状況を踏まえて、安倍首相は12月14日に行われた内外情勢調査会の講演で「次なる目標は3,000万人だ」と表明したようです。この講演では時期を明確にしていませんが、早期達成を視野に入れている可能性は高いと言えましょう。

実はあの民主党政権時に下地が作られていた“観光立国”戦略

多くの皆さんは「訪日外国人数を増やすことは、アベノミクス始動後に実施された主要政策の1つ」と考えていないでしょうか。

もちろん、アベノミクスの目玉政策の1つであることは確かです。しかし、訪日外国人を増加させて、日本の観光立国を推進する政策を打ち出したのは、今の前の民主党政権だったのです。

2010年夏には「訪日外国人3,000万人プログラム」が公表されており、2016年までに2,000万人、2019年に2,500万人、将来目標3,000万人となっていました。当時は、まだ東京五輪の招致も決定していませんでしたし、為替レートも90円/ドルくらいでしたから、なかなかアグレッシブな計画だったと言えましょう。

なお、翌年(2011年)に発生した東日本大震災の影響で、この「訪日外国人3,000万人プログラム」は事実上、お蔵入りとなったと考えられます。

世界トップ20に入れていない日本の観光客数

ところで、今の日本の訪日外国人数約2,000万人(2015年推定)は過去最高の数字ですが、他国と比べて多いのでしょうか、少ないのでしょうか。

世界観光機関が発表した統計によると(注:2014年実績)、1位はフランス(8,370万人)、2位は米国(7,476万人)、3位はスペイン(6,500万人)、4位は中国(5,562万人)、5位はイタリア(4,858万人)、以下6位トルコ、7位ドイツ、8位英国、9位ロシア、10位メキシコとなっています。

日本は前年から大きく上昇して22位ですが、同じアジア地域の香港(11位)、マレーシア(12位)、タイ(14位)、マカオ(19位)、韓国(20位)の後塵を拝しています。この結果だけを見ても、まだまだ増える余地がありそうです。

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出所:世界観光機関、2014年実績

居住人口比で見る限り、訪日外国人数は倍増も可能

また、よく行われる居住人口に対する観光客数の割合比較で見ても、日本はまだ11%に過ぎません(注:2014年実績から筆者試算、以下同)。これは、先進国平均の50%、人口が極端に多い中国とインドを除くアジア平均の48%と比べても非常に低くなっています。

ちなみに、アジア諸国の中では、タイが36%、韓国が29%となっていることから、日本も30%程度まで増やすことが可能かもしれません。この30%を当てはめると、訪日外国人数は約3,800万人と試算され、2015年見込みのおおよそ倍増となります。

官民一体となった施策が必要不可欠

訪日外国人数が今の倍増となれば、思いつくだけでも、ホテル、貸し切りバス、通訳など不足しているものが沢山あるはずです。訪日外国人数を増やすならば、それに見合った環境作りは急務と言えましょう。日本は、まだ観光後進国、観光発展途上国なのかもしれません。

【2015年12月23日 投信1編集部】

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投信1編集部

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