ブラジルのリオ五輪は間に合わない、は本当か? 現地を実際に歩いてみた:証券アナリスト ブラジル訪問記(4)

この記事の読みどころ

リオ五輪の開会式まであと8か月になりました。南米大陸では史上初の開催です。

空港や市内には、五輪開催を控えた盛り上がりを感じることはできませんでした。国内経済の悪化が影響しているのかもしれません。

建設工事の遅れが出ている地区に行ってみると、地下鉄などの突貫工事中でした。

南米大陸では初の開催となるリオ五輪の開会式まであと8か月

来年2016年は、ブラジルのリオデジャネイロで夏季オリンピック・パラリンピック大会(以下「リオ五輪」)が開催されます。開会式が8月5日ですから、開催まであと約8か月です。

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リオ五輪は南半球で開催される五輪としては3回目(それ以前は1956年のメルボルン、2000年のシドニー。いずれも豪州)ですが、南米大陸では史上初の開催となります。

世界有数の新興国であるブラジルにとっては、2014年のサッカーのワールドカップに次ぐビッグイベントの開催です。

開催決定時には底力を見せていたブラジル経済

リオ五輪の開催が決まったのは、2009年10月のIOC総会でした。同じ立候補都市のマドリード、東京、シカゴを破っての選出となりました。

当時はリーマンショック発生からまだ間もない時期であり、各国の景気停滞が深刻となっていました。ブラジルも影響を受けましたが、先進国よりいち早く回復しており、新興国経済の底力を見せていた時期と言えましょう。

しかし、昨今の日本で耳にするニュースは、工事が大幅に遅れているとか、開催が危ないのではないかといった懸念ばかりです。本当に大丈夫なのでしょうか? 限られた時間ですが、リオデジャネイロ市内を散策してみました。

盛り上がりに欠けていたリオデジャネイロ市内

ところで、筆者は4年前のこの時期(2011年11月下旬)に、ロンドンに行く機会がありました。

クリスマスを控えたロンドン市内は、五輪開催を前に例年以上に盛り上がっていたのを覚えています。リオデジャネイロ市内も、かなり盛り上がっているのではないかと期待しました。

ところが、リオ空港に降り立つと、五輪開催という雰囲気があまり感じられません。大きな広告(冒頭の写真)を見ましたが、それ以外のものを見つけることはできませんでした。

筆者が滞在した3日間、市内や有名観光スポットでも、リオ五輪開催を感じさせる雰囲気はほとんど感じることができませんでした。

また、現地のテレビニュース番組を見ても、報道している様子はありません。ハッキリ言って、開催までまだ5年もある東京の方が盛り上がっています。

ブラジル経済の深刻な悪化が背景にある?

筆者がリオ五輪開催の盛り上がりに欠けていると感じた背景として、ブラジル経済の深刻な悪化があげられます。

現政権が掲げている緊縮財政政策により、各種の大幅増税や相次ぐ公共料金の値上げが実施されており、個人消費は大きく冷え込んでいます。

開催が決定した頃の力強い経済状況から一転、現在のブラジル経済の先行きは出口が見え難い状況に陥っていると言えましょう。

一部の競技場では建設遅れも、大半は既存設備などを活用

懸念されている競技会場の建設遅延ですが、確かに一部の競技場(水泳、柔道、レスリングなど)では遅れが目立っている模様です。

ただ、開会式や閉会式を行うメイン会場は既存の設備(サッカーワールドカップの決勝戦会場となったマラカナン競技場)を活用しますし、陸上、体操、バレーボール等の主力競技会場は、既に完成、もしくは、既存設備の活用が決まっています。当然、サッカーは全く心配不要です。

日本で言われているような懸念は不要だと感じました。

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突貫工事のような勢いで建設が行われていた

ただ、そうは言っても遅れが出ている部分があることも事実です。特に、BARRA地区(競泳、柔道、体操、ボクシングなど)の遅れが目立つと聞き、バスで出かけて行きました。

残念ながら、建設現場に近づくことはできませんでしたが、地下鉄やインフラ整備の工事は、突貫工事のような勢いで行われていました。来年8月までに完成するのか少し不安ですが、現地では特段な懸念はないようでした。

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冒頭で、開会までもう8か月しかないと書きましたが、リオデジャネイロ市民にとっては“まだ8か月ある”という雰囲気なのかもしれません。2016年のリオ五輪開催が本当に待ち遠しくなりました。

【2015年12月2日 持丸 強志】

■参考記事■

>>債券型投資信託の注意点―毎月分配型を見極めるポイント

>>失敗しない投資信託の選び方:おさえるべき3つのNGと6つのポイント

持丸  強志

東京工業大学工学部卒業後、日興證券に入社。
その後ドレスナー・クラインオートベンソン証券、㈱大和総研、メリルリンチ日本証券、ドイツ証券、リーマン・ブラザーズ証券、バークレイズ証券等を経て、2013年まで三菱UFJモルガン・スタンレー証券にシニアアナリストとして勤務。
ほぼ一貫して約20年間にわたり、自動車・自動車部品産業の分析、及び、大手自動車メーカーを始めとする企業分析を担当。
日本証券アナリスト協会検定会員。