ワイドFMラジオから考える国内民生用電子機器市場の動向

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「ワイドFM」が全国に拡大中

最近、「ラジオは、いま買え」の宣伝を、バス停や電車の車内広告などでよく見かけます。ワイドFM(FM補完放送)が、3大都市圏(東京・名古屋・大阪)を皮切りに全国に拡大中であるためです。

ワイドFMは、AMラジオで放送しているのと全く同じ番組を、中継局を通して、FMラジオでも同時に放送するものです。

AMラジオの送信所は海や河川の近くに設置されていることが多いため、洪水や津波の被害を受けやすく、災害時に貴重な情報源としての役割を果たせなくなる可能性があります。また、ビルやマンションなどが多い都市部では難視聴地域が多いといった問題もあります。

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こうした問題を解消することがワイドFMの目的ですが、加えて、ステレオ放送で音がクリアになる、外国波の混信を防げるなどのメリットもあります。

ワイドFMは90Mhz~95Mhz帯が使われます。このため、この帯域を受信できるFMチューナーが必要となります。古いFMラジオでは、76Mhz~90Mhz までしか対応していないため買い替える必要があり、だから、「ラジオは、いま買え」なのです。

「ラジオは、いま買え」の宣伝効果は?

電子情報技術産業協会(JEITA)によると、ラジオ受信機の10月までの累計出荷台数は116万台(前年同期比▲7%減)、10月単月の出荷台数は▲8%減に留まっており、ワイドFMの効果は、まだ数字には表れていません。

TBS、文化放送、ニッポン放送などの東京圏のラジオがワイドFMでの本放送を開始したのは12月7日からですので、今後に期待したいところです。

10月の出荷金額は2か月ぶりのプラスに

とはいえ、ソニー(6758)、パナソニック(6752)などの大手民生エレクトロニクスメーカーにとって、ラジオ受信機は非常に小さな事業であり、業績への影響は限定的です。

このため、薄型テレビなども含めた動向を見てみると、民生用電子機器全体の国内出荷金額は、1,051億円(前年比+8%増)と2か月ぶりのプラスでした。

分野別では、映像機器は496億円(前年比+2%)と2か月ぶりのプラスに、音声機器は79億円(同、+34%増)と2か月ぶりのプラスに、カーAVC機器は476億円(同、+10%)と2か月ぶりのプラスとなっていました。

11月、12月の年末商戦期は、民生用電子機器にとっては重要な書き入れ時となりますので、来週発表予定の11月実績も回復が継続しているかを注目したいと思います。

10月は薄型テレビ、カーナビが好調だった

10月の薄型テレビの出荷台数は、前年同月比+9%増の36万5,000台。このうち、4K対応テレビは前年比+58%増と好調で、このことが金額ベースの回復に寄与したと推定されます。

薄型テレビの主要メーカーは、ソニー、パナソニック、東芝(6502)、シャープ(6753)などですが、東芝、シャープは、それぞれの経営問題で販売力の低下が続くことが予想されますので、ソニーやパナソニックが残存者利得を受けられる可能性に注目したいと思います。

一方、カーナビは前年同月比+16%の44万6,000台で、3か月連続のプラスでした。

関連企業としては、パイオニア(6773)、アルパイン(6816)、クラリオン(6796)などがあげられます。カーナビにはラジオ受信機も付いている場合が多いため、今後ワイドFM効果が現れてくるかも注視したいところです。

【2015年12月14日 投信1編集部】

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投信1編集部

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