1月21日に2016年3月期Q3(10-12月期)決算を発表予定の日本電産

米国市場では既に10-12月期の決算発表が始まっていますが、日本では来週から本格化します。電機セクターの大所での皮切りは1月21日(木)発表予定の日本電産(6594)です。

同社の決算説明会は永守重信社長の独演会といってもよく、71歳とは思えない迫力で、決算内容や短期業績見通しだけではなく、中長期戦略、業界動向、人事政策などが語られます。

外部環境が極めて不透明になっている中で、永守社長がどのようなメッセージを発信するか注目されます。決算での注目ポイントは以下の3点です。

1.11四半期連続での増益を達成できるか

第1の注目点はQ3の業績動向です。Q2までに10四半期連続の増益を達成していますが、この記録がさらに更新されるかが注目されます。また、単に表面的な数字だけではなく、以下のポイントにも注目したいと思います。

  • HDD用小型スピンドルモータが、高付加価値のサーバー用でパソコン用の不振をカバーし、高い採算性をキープできているか
  • HDD用に代わり、戦略的に注力中の一般モータ(自動車、家電、商業、産業機器向け)が、採算改善を伴いならが成長しているか
  • スマホ用のハプティックデバイス(リニア振動アクチュエーター)や車載カメラ用モータなどの新製品が、収益拡大に寄与しているか

2.モータ以外の動向

同社の成長領域はモータ単体だけではなく、ファン、コントローラ、センサ、変減速機、ポンプといった周辺部品と組み合わせたモジュール製品にも広がっています。また、ロボット、プレス機、検査装置等などの生産設備機器にも注力中です。こうした分野を成長させるための打ち手にも目を向けたいものです。

3.2016年のM&A戦略

これまで同社は国内外で多数のM&Aを手掛けて成長してきましたが、2016年はどのような考えでM&Aを行っていくのか注目されます。特に、国内ではシャープ、東芝などが経営不振により大規模なリストラを行っているため、こうした動きに同社がどのように関与していくかが注目されます。

非常に緊張感のある決算説明会となるだろう

同社のホームページには永守社長の年頭の挨拶(要旨)が掲載されています。

この中で、グローバル競争に負ける条件として、「競争相手が出来ていることを出来なくなる」、「社内で言い訳や泣き言、あきらめ等のうしろ向きの発言が目立ってくる」「一番でなく、二番以下でもよいという社風に変わってくる」ことが挙げられています。

こうしたメッセージを発することで、社内に危機感と緊張感を醸成しています。

おそらく今回の決算説明会も、短期的な業績好調に安住することなく中長期の成長を目指す姿勢が改めて確認できる機会になると思います。

参考:日本電産の過去10年間の株価推移

LIMO編集部