再びリスクオフ相場に戻った1週間

先週(2月1日‐2月5日)の世界の主要株式市場は、前週とは逆の動きとなり、上海株式市場は反発しましたが、それ以外の市場はおおむね下落しました。日銀のマイナス金利導入でいったん反発に転じた株式市場でしたが、長続きしませんでした。

マクロ面で最大の注目点だった米国1月の雇用統計では、賃金上昇と新規雇用者数の伸び鈍化という、利上げのペースを占うには解釈の分かれる内容でした。

しかし、週次で市場の動きを見ると、日米独の長期金利は低下し、米ドルは対ユーロ、対円ともに約▲3%下げました。米国景気の減速リスクに警戒が出ていると考える方が自然です。その上で、利上げもあるかもしれないと疑心暗鬼になっているのかもしれません。

この結果、株式市場ではリスク回避の姿勢が強まっています。先週決算を発表したリンクトイン(LNKD)は成長モメンタムの低下を嫌気され1日で▲44%下落しました。アルファベット(GOOG)、アマゾン(AMZN)、フェイスブック(FB)なども大きく下げています。昨年までは米国の利上げは米株にプラスだ、という意見が支配的だったと思われます。しかし、ここにきて利上げを意識すると株価が下げるという逆の現象が起きつつありますので要注意でしょう。

日本ではマイナス金利導入の余波で銀行株が下げ止まりません。決算発表は佳境ですが、消費財・医療関連・小売が堅調な一方、商社・機械・電機などで厳しい内容のものが目につきます。

なお、余談ですが、主要225銘柄で構成される日経平均株価の5日の終値は、前日比でちょうど▲225円下げています。

先週の主要市場の動き

注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示

年初来の主要市場の動き 

注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示

年初来安値を再び試す1週間に

今週(2月8日‐2月12日)は1月の安値を下回るかが試される展開になりそうです。

株式市場がひとまず落ち着くには、米国の次の利上げ時期はまだ先になるというメッセージが必要と思われます。そこで、イエレンFRB議長の証言(10、11日)が注目です。マクロ面ではユーロ圏の12月鉱工業生産(12日)、米国の1月小売売上高(12日)などを押さえておきたいです。

グローバルに見ると、市場参加者のセンチメントはナスダック総合指数と、その主力銘柄に反映されそうです。売り圧力が続くことになるのか、大いに注目です。

日本では決算が続きます。日本郵政グループの決算発表(12日)の内容とその後の株価の反応が、日本の個人投資家のセンチメントを左右しそうです。

LIMO編集部