相場の催促に日銀が応えた1週間

先週(1月25日‐1月29日)の世界の主要株式市場は、上海市場を除きおおむね上昇しました。最大の注目点であった日米の金融政策で、プラス材料が出たためです。

米国の金融政策決定会合では金融政策は据え置かれましたが、足元の国内の景気指標のもたつきから今後の利上げペースは緩慢になるとの見方が強まっています。

そして、ドルの上値が重たい雰囲気が出始めたタイミングで、日銀がマイナス金利の導入を発表しました。市場はこれを好感し世界的に株価が上昇しています。主要国の長期金利は急低下し、円相場は対ドル、対ユーロともに約2%円安になりました。

金利低下に呼応して、原油価格をはじめ資源価格も反発しています。この結果、景気の好調なフィリピン市場だけでなく、ロシア、ブラジル、メキシコなどの株式市場が上昇しています。

日銀の政策のインパクトは世界的に大きかったと思われます。甘利大臣の辞任という安倍政権の不安材料も一気にかき消されました。シカゴの日経平均先物指数は17,855円で終わっており、週明けの東京市場は高くはじまりそうです。

しかし個別企業の決算と株価の動向を詳しく見ると、足元はぬかるんでいます。フェイスブック(FB)のように好決算が好感された銘柄がある一方、ファナック(6954)のように下方修正で急落する銘柄が散見されました。日本で言えば、内需関連は堅調でしたが、中国関連、資源関連、スマホ関連、素材関連などの企業の業績は悪化しています。

先週の主要市場の動き

注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示

年初来の主要市場の動き 

注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示

上昇余力を試す1週間に

今週(2月1日‐2月5日)は上昇余力を試す展開になりそうです。

年初来の催促相場に日米欧の中央銀行が一定の反応を確認したため、従来に比べて不安感は後退したと思いますが、企業業績は「雨または曇り、ところどころ晴れ間」というのが実態です。当面は晴れ間である内需系企業、インターネット系企業、あるいは不動産関連株に物色が集まりそうですが、市場全体の底上げのためにはもう少し晴れ間が増える必要があります。

マクロ環境を考えるうえでは、中国の1月の製造業購買担当者景気指数が注目です。成長減速が懸念される米国の各種マクロ指標も引き続き重要です。また、黒田日銀総裁の講演も気になります。

米国では決算発表の山場を越えつつありますが、日本は本格化していきます。今週はアルファベット(GOOG)、トヨタなどに加え、東芝(6502)、シャープ(6753)も予定されています。

しかし、景気指標も企業決算もすぐに晴れ間の拡大につながりにくそうです。また、中国は2月第2週に春節があるため多くを期待できないでしょう。

最後に、目先見ておきたい業界、銘柄について。トヨタ自動車(7203)がダイハツ工業(7262)の完全子会社化を発表しました。現在の低い株価水準を活用して業界再編が進むようであれば、市場は好感すると思われます。マイナス金利を嫌気し下落している日本の地銀株の動きには、特に注目です。

【2016年1月31日 投信1編集部】

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LIMO編集部