新型「プリウス」の受注状況で見えたハイブリッド車の浸透度

(写真:トヨタ自動車)

この記事の読みどころ

6年半ぶりのフルモデルチェンジを実施したトヨタ「プリウス」の発売後1か月の受注台数は10万台、目標月販台数の8倍強でした。

前回(2009年)のフルモデルチェンジ時には18万台を記録していますが、当時はエコカー補助金やガソリン価格高騰などの“追い風”がありました。

取り巻く環境の違いを考えると、今回の新型「プリウス」の出足はまずまずです。ハイブリッド車が広く浸透していると言えます。

続きを読む

トヨタの新型「プリウス」、発売1か月後の受注状況が公表

国内の自動車業界では、新車(フルモデルチェンジ含む)が発売されると、その1か月後に受注状況が公表されるのが慣習となっています。発売後1か月間での受注状況を見ると、その新車に対する消費者の関心度を把握できると考えられています。

2016年1月18日、昨年(2015年)12月に約6年半ぶりのフルモデルチェンジを行ったトヨタ自動車(7203)の4代目「プリウス」に関して、発売後1か月間の受注状況が公表されました(注:国内のみ)。

ハイブリッド車の代名詞的存在である「プリウス」は、日本のみならずグローバル規模で見ても(特に米国市場)、トヨタの主力車種の1つです。当然、トヨタの業績にも相応の影響を与える商品と見ていいでしょう。

新型「プリウス」の受注台数は10万台、目標月販台数の8倍強

さて、その注目された受注台数は約10万台となり、目標月販台数の12,000台に対して8倍強の出足となりました。この8倍強という数字は、他の車種と比べてもかなり高いものです。このスタートは好調だったと考えていいのでしょうか?

先代「プリウス」は発売1か月間の受注台数18万台を記録

まず、2009年5月に発売された先代の3代目「プリウス」の1か月受注はどうだったのか、振り返ってみましょう。1か月後に発表された受注台数は、目標月販台数10,000台の実に18倍に相当する約18万台でした。

これは、まさしく空前絶後の記録的な受注台数でした。もう2度と出てこない受注台数と言っても過言ではありません。

前回と今回では「プリウス」を取り巻く環境が違う

この受注台数だけを単純に比べると、今回は勢いが落ちているということになります。しかし、前回と今回では「プリウス」を取り巻く環境に大きな違いがあることに注意しなければなりません。

まず、前回の発売時は、リーマンショック発生からまだ間もなく、依然として厳しい経済混乱期にありました。正直なところ、高級消費耐久財であるクルマを買うという雰囲気は乏しかったと言えます。そして、そのような経済状況を踏まえ、政府が「エコカー補助金」の支給を発表していました。

このエコカー補助金制度の詳細は省略しますが、「プリウス」の購入に際して最大25万円(多くのケースは10万円)の補助金が支給されていたのです。この金額は、消費者の購入意欲をかき立てるに十分だったと言えましょう。

また、前回は、ホンダが満を持して投入(2009年2月)したハイブリッド車「インサイト」の人気が高く、新型「プリウス」もそれに対抗すべく、値頃感が強い価格設定となりました。そして、リーマンショックにより沈静化していたとはいえ、原油価格が高水準であったため、燃費に対する関心が非常に高かった時期でもありました。

今回はエコカー補助金もなく、ガソリン価格高騰もない

さて、今回の4代目「プリウス」を取り巻く環境はどうでしょうか。エコカー補助金はありませんし、販売価格もやや高めに設定されています(3代目がかなり低価格だった)。

また、ハイブリッド車では、「プリウス」以上の販売台数を上げている「アクア」等、同じトヨタの中で商品ラインナップが充実しています。言い換えると、ハイブリッド車での選択肢が増えたということですね。

しかも、ハイブリッド車だけでなく、電気自動車や燃料電池車のような次世代エコカーに加え、既存のエンジン性能の改良によって誕生した“第3のエコカー”も存在します。

さらに、御存知の通り、ガソリン価格が下落しており、燃費に対する関心度は、前回ほどは高いと言えない状況です。つまり、今回の4代目「プリウス」を取り巻く環境は、前回に比べると非常に厳しくなったと考えていいでしょう。

日本の社会にハイブリッド車が強く浸透している

こうした様々な環境の違いを考えると、今回の新型「プリウス」の発売後1か月受注状況は、かなり健闘していると思われます。そして、「プリウス」というよりも、ハイブリッド車そのものが消費者に強く浸透していると見ていいのかもしれません。

【2016年1月22日 投信1編集部】

■参考記事■

>>自分にぴったりの分散投資を手数料無料で最も安く―「たわらノーロード」シリーズ活用法

>>失敗しない投資信託の選び方:おさえるべき3つのNGと6つのポイント

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。