今週の注目は3月4日(金)発表の2月米雇用統計の「失業率」

この記事の読みどころ

2016年3月4日(金)22:30発表予定の2月米雇用統計に注目です。

「非農業部門雇用者数の変化率(前月比)」と「失業率」がチェックポイントです。

3月4日(金)22:30発表予定の2月米雇用統計に注目

マーケット参加者の中で特に注目される経済指標として、米労働省が公表する米雇用統計があります。雇用統計といっても様々な項目が発表されますが、マーケット関係者が重要視するのは「非農業部門雇用者数の変化率(前月比)」と「失業率」です。

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なぜなら、この2つの項目は、米FRB(連邦準備理事会)の金融政策に最も影響を与えるからです。米国を始め、各国の中央銀行の主な役割は、「雇用拡大」と「物価安定」だからです。

なお、米国の農業従事者は天候や収穫時期要因による雇用者数の増減が多いため、労働市場の実態を反映する「非農業部門雇用者数」で捉えるようにします。

「非農業部門雇用者数の変化率(前月比)」と「失業率」のチェックポイント

現在、米国の雇用情勢を悪化させない「非農業部門雇用者数の変化率(前月比)」は約15万人、失業率を上昇させないためには約20万人が必要となります。

人口減少の続く日本と異なり、移民を受け入れ人口増加が継続している米国は、毎月15万人~20万人の雇用増が必要なのです。

「非農業部門雇用者数の変化率(前月比)」を確認する際の注意点は、季節要因等で大きく数字が振れる傾向にあることです。米国でもパートタイム労働者の増加に伴い、国税調査や、クリスマス商戦シーズンの大手小売店による大規模な臨時雇用が発生した際は、一段と数字の振れが大きく出ます。

市場予想から大きく乖離した数値が出た場合、FX等、外国為替市場で短期売買される投資家以外は、その背景も捉えるようにしたいものです。

米国経済全体の先行き見通しを検討する際には、「失業率」のチェックも重要です。米国の場合、米FRBが、インフレ加速を伴わない失業率の最低水準を5.2%-5.5%と定義しているので、失業率5.0%を下回る水準は「完全雇用」と呼んで良いかと思います。ちなみに、2016年1月の失業率は4.9%です。

1つ留意したいのは、失業率を捉える際、労働参加率(就業者と職探しをしている人の合計)を合わせて見るべきだという点です。不況が長引いた場合、職探しそのものを諦める人が増加して失業率が「改善する」ことがあります。なぜなら、米国の失業率は過去4週間に職探しをしなかった人を集計しないためです。

米国は、好景気の労働参加率は70%前後となりますが、2016年1月の労働参加率は62.7%でした。

2月の「非農業部門雇用者数の変化率(前月比)」・「失業率」は市場予想を上回れるか

こうした中、2月の米「非農業部門雇用者数の変化率(前月比)」の市場予想19.3万人、同「失業率」の市場予想4.9%を上回る内容となるかに注目したいところです。

出所:SPEEDAをもとに筆者作成

【参考情報】米雇用統計の基礎知識

そもそも雇用統計とは

米雇用統計は、米労働省労働統計局が、全米の企業や政府機関などに対してサンプル調査を行い、毎月第1金曜日に公表します。

非農業部門雇用者数、失業率、建設業就業者数、製造業就業者数、小売業就業者数、金融機関就業者数、週労働時間、平均時給など、調査項目は多岐にわたりますが、今回は、非農業部門雇用者数、失業率の概要を解説します。

非農業部門雇用者数

非農業部門に属する事業所の給与支払い帳簿を基に集計されます。また、農業従事者だけでなく、経営者や自営業者も非農業部門雇用者数には含まれません。業種別の数値も公表されており、特に製造業が注目されることがありますが、数値の振れが非常に大きい経済指標です。

失業率

16才以上の男女が調査対象となっており、(失業者/労働力人口)×100で算出されます。ただし、過去4週間以内に求職活動をしなかった人は失業者としてカウントされません。また、軍隊従事者や刑務所の服役者も含まれません。そこで、労働参加率(就業者と職探しをしている人の合計)も合わせて見るようにしましょう。

細かい話になりますが、筆者は、人材派遣業の雇用者数をチェックしています。なぜなら、景気が悪化し始めると、米国の経営者はまず派遣スタッフを削減し、その後正社員のリストラクチャリングに踏み切るためです。

一方、景気回復局面では、人手不足から派遣スタッフを雇用し、本格的な景気回復を確認後、正社員の雇用が進みます。従って、人材派遣業の雇用者数は、非農業部門雇用者数よりも先行性があるのです。時間のある方は、ぜひ米労働省労働統計局の元データを確認してみてください。

※元データの確認は、米労働省労働統計局のウェブサイトをご参照ください。

【2016年2月29日 投信1編集部】

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岡野 辰太郎

1976年生。大学在学中、マイクロソフトのインターンシップへ参加。
横浜国立大学大学院卒業後、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社の投資ストラテジストとして、リサーチ業務に従事。
同社退社後、Webサービスの開発・運営を行う株式会社アーブを設立。モノづくりのクラウドファンディング「SpotLight(スポットライト)」を運営中。