日本をしのぐ勢いで金融改革が進む、東南アジアのクラウドファンディング環境トップ4

フィリピンの首都マニラ(写真提供:クラウドクレジット)

東南アジアの経済成長を支える一翼として期待されるクラウドファンディング

ここ数年の間に東南アジア諸国の、特に首都を訪れた方は、その経済発展の目覚ましさに驚きを覚えたのではないかと思います。

これらの国々の多くは、我先にと一様に金融市場の改革に取り組んでいます。その理由は、中小企業の慢性的な資金不足です。東南アジアの企業の多くは中小企業であり、雇用を支えているのも中小企業です。しかし、アジア開発銀行の調査によると、銀行融資のわずか18.7%のみが中小企業向けとのことです。

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そんな中、東南アジアの各政府は、クラウドファンディングの発展が中小企業の資金ギャップを埋める理由のひとつになると考えており、クラウドファンディングの政策策定、法・規制立案を急いでいます。2015年は、アジア諸国におけるクラウドファンディングの規制緩和と新法制定のニュースが我々のもとにも立て続けに飛び込んできて、そのスピード感には圧倒されました。

そこで今回は、東南アジア諸国の中でも特にクラウドファンディングの改革が目立つ国を、関連する政策や法律の立案内容およびその進捗具合を踏まえてクラウドクレジットがランキングします。

クラウドファンディングの革新に積極的な東南アジア諸国ランキング

1位:マレーシア

証券委員会が2014年に8月にクラウドファンディングに関する公聴会を実施してから、わずか9か月で、「資本市場・サービス法」の制定がされたマレーシア。この法令により、2015年6月には6つの企業が投資型クラウドファンディング事業のライセンスを取得しました。

政府の狙いは、中小企業やスタートアップ事業の資金不足の一部を、投資型クラウドファンディングで解決することです。

マレーシア政府は、クラウドファンディングの消費者保護にも慎重です。法律では、1社当たりの募集限度額は3か月で約8,700万円(300万マレーシアリンギット)、1年で約1億4,500万円(500万マレーシアリンギット)と定め、投資家側に対しても1企業当たり約15万円(5千マレーシアリンギット)、1年間で150万円(5万マレーシアリンギット)を投資額の上限とすることを決定しました。

また投資家の判断により、6日間以内であれば投資をキャンセルすることができるクーリングオフの制度も設けています。

2位:シンガポール

シンガポールも投資型クラウドファンディングを早期より可能とした国の1つですが、マレーシアよりも比較的慎重な姿勢を見せています。

シンガポールは今のところ、公認許可を取得済のアクレディテッド投資家(約1億7,000万円=200 万シンガポールドル以上の資産を保有する個人)、あるいは機関投資家のみに対して、投資型クラウドファンディングへの投資を認めています。

しかし、シンガポール政府はクラウドファンディングにおける東南アジアのパイオニアになることを目指しており、フィンテック関連のワークグループを組成しており、彼らはあらゆるステークホルダーを巻き込んでの、政策・法規制の立案の促進に向けたたゆまぬ対話を行っています。

3位:タイ

タイはマレーシアに似たクラウドファンディングの法律を制定しています。タイでは、一般投資家は1企業当たり17万円(5万タイバーツ)、最高1人当たり170万円(50万タイバーツ)を投資することができます。

タイの証券取引所は、「クラウドファンディングは、気軽さと事業主と投資家の近さが“売り”であり、IPOと同様の厳重な法律を敷くことは避けたい」としています。

その一方で、「しかし、投資家がきちんと投資に関する知識を身に着けているかを審査し、審査基準を通過した者のみがクラウドファンディングに参加することができるなどの保護対策も取らなければならない」との声明を出しており、クラウドファンディング法の在り方について関係者と綿密な議論を続けています。

4位:インドネシア

インドネシアの金融サービス機構は、2015年10月にクラウドファンディング法の制定に乗り出すことを発表したばかりですが、今後の動きが気になる国です。

インドネシアでは、生産年齢人口における起業家の割合が他の国よりも少ないことが課題とされています。クラウドファンディングの法令を成立させることにより、ベンチャーキャピタル市場の活性化と、中小企業への投資促進が期待されています。

日本のクラウドファンディング環境は?

日本は、2014年に金融商品取引法を改正し、クラウドファンディング上で、募集者は1億円未満、投資家は1人当たり50万円以下の取引を行うことができるようになりました。

しかし、上記の東南アジア諸国に見られるクラウドファンディングへの果敢な挑戦は、我々の想像を超えるものでした。日本でもクラウドファンディングに関して、より多くの関係者を巻き込んだ議論がなされるよう、我々も働きかけをしていきたいと思います。

参考:

Crowdfund Insider (2016) The Equity Crowdfunding Bandwagon: South East Asia Jumps On Board

Nyshka Chandran (2015) Equity crowdfunding gains traction in Asia

Crowdfunding Insider (2015) Coming Up: Indonesia’s Financial Services Authority (OJK) To Announce Crowdfunding Regulation

【2016年3月1日 クラウドクレジット】

■参考記事■

>>失敗しない投資信託の選び方:おさえるべき3つのNGと6つのポイント

>>ネット証券会社徹底比較:株も投資信託も気になるあなたへ

クラウドクレジット

世界の資金需要者と個人投資家をつなぐ金融プラットフォームをつくるフィンテック企業として2013年1月に設立。
2014年6月から投資型クラウドファンディング・サービス「クラウドクレジット」を提供。当初はラテンアメリカのペルーに投資を行うファンドを提供し、2015年からはフィンランドやスペインをはじめとする欧州諸国の個人向けローンに投資を行う。
2016年はアジア、アフリカ諸国での投融資を開始し、2017年に五大陸で投融資を行うプラットフォームになる予定。