株式市場から見る2017年4月の消費税増税―恩恵銘柄は何か

なぜ次期消費税増税が株式市場から注目されるのか

2014年4月に、消費税が5%から8%に引き上げられてから約2年が経とうとしています。そして、消費税が10%へ引き上げられる2017年4月が約1年後に迫ってきています。

10%への増税は、現時点では景気の情勢に関わりなく行われることになっていますが、2016年夏にも実施が予定されている参議院選挙が衆参同時選挙になる可能性や、消費税増税の凍結が論点になるのではないかという噂もささやかれています。また、生活必需品に対して軽減税率を適用するとも言われています(なお、酒類と外食を除く食品全般には軽減税率の適用実施が決定済み)。

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今回は、実施可能性が高い消費税増税をメインシナリオとして、不透明なマクロ環境下での消費税増税の影響に関し、小売り関連銘柄を中心とした投資の視点から少し考えてみたいと思います。仮に消費税増税がこれまでの計画通り実施されなければ、財政再建について懐疑的に見られる可能性もあるため、株式市場としては慎重に注目すべきイベントです。

アナリストが注目する消費税増税のポイント

◆視点1 消費税増税の有無については気にしないほうがよい

消費税を引き上げると景気が悪くなる(なった)という議論がよくあります。確かに消費税増税前には駆け込み消費が発生し、その後に大きな反動が出ることがあるので、消費税増税直後の時点を見ると景気が悪くなったように感じます。しかし、消費税増税の影響をその前後の期間をならして考えると、一概にはそうとも言えません。例えばこの2年間に失業率が急増したかというと、実際はその逆です。

消費税が増税となる背景は、社会保障費が膨れ上がり、構造的に歳出が歳入を上回るからです。また、消費税増税を延期・中止するには景気が悪いという認定が必要です。景気が悪いなら消費税増税を回避しても消費は厳しい、そう考えざるを得ません。

消費税の増税の経済効果はなかなかわかりにくいものです。これにあまり神経質になるのは得策ではないでしょう。

◆視点2 駆け込み消費とその反動減のクセ

とはいえ、消費税増税直前のかけこみ消費は顕著に現れます。特に耐久消費財にその影響が出るというのが特徴的です。また、高額品の消費が喚起されるのは容易に想像がつくことでもあります。ただし、駆け込みの後には反動減もあるため、深追いは禁物でしょう。

◆視点3 消費者が倹約志向となる結果の恩恵銘柄を探す

消費税増税が予定されているということで、消費者の節約志向が強まると思われます。そのため、各ECサイトや小売りグループが発行するポイントによる訴求を効果的に行うことができる企業は有利でしょう。また、低価格で品揃えが豊富な企業や、消費動向にあまり左右されることが多くない特色のある小売店は注目しておきたいところです。

消費税増税で影響を受ける関連銘柄

さて、上記の視点から、どのような銘柄が影響を受けるのかを考えてみたと思います。

◆駆け込み需要で恩恵を受けそうな銘柄

先ほど、消費税増税で駆け込み需要の恩恵を受けそうな銘柄の特徴として、耐久消費財を扱っていること、また高級品・高価格帯の商品を扱っていることなどをあげました。

この観点からは、たとえば、トヨタ自動車(7203)をはじめとした乗用車メーカー、いすゞ自動車(7202)をはじめとした商用車メーカー、三井不動産(8801)をはじめとした不動産(マンションや一戸建て)、パナソニック(6752)をはじめとした白物家電(冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)メーカーなどがそれにあたります。

また、高額品の消費が喚起されるという意味で、三越伊勢丹ホールディングス(3099)をはじめとした百貨店株にも恩恵が出そうです。ただし、繰り返しになりますが、消費税増税後にはその反動減が必ずといってよいほど見られるので、そこには注意する必要があります。

◆消費者が倹約志向になることでの恩恵銘柄

消費者が良く使うポイントによる経済圏を確立できている企業として注目できるのは、楽天(4755)やヤフー(4689)などのECサイトがあります。また、特色あるディスカウンターとしてはドンキホーテホールディングス(7532)やコスモス薬品(3349)、100円ショップのセリア(2782)などは、消費者の倹約志向のコア銘柄として注目です。

このほか、インターネット上のフリーマーケットやオークションサイトも、手元資産を現金化するという点から注目することも可能です。リサイクルショップのコメ兵(2780)やトレジャーファクトリー(3093)などにも注目しておきたいところです。また、自動車をシェアするというトレンドも起きていますので、カーシェアリングのパーク24(4666)は今後シェアリングエコノミー銘柄としても注目することができるでしょう。

【2016年2月23日 投信1編集部】

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投信1編集部

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