大荒れの株式相場に透けて見える投資家心理

日本のみならず世界の株式市場は2016年に入り、大荒れです。そんな中、日本の個人投資家はどのような心理状態なのでしょうか。その心理を理解した上で資産運用や長期の資産形成に取り組みたいものです。

投資家が株式市場をどのように見ているかを知るためには、投資家の売買動向を見るのが1つのアプローチです。今回は、日本の株式市場の下落ペースがきつかった2016年2月8日から12日までを振り返ることで検証してみましょう。

投資家の投資信託の売買動向

では、投資家の投資信託の売買動向を、楽天証券の同期間の買付ランキングで見ていきましょう。

第1位:楽天日本株4.3倍ブル

第2位:ニッセイ日経225インデックスファンド

第3位:ワールド・リート・オープン(毎月決算型)

第4位:日本株ハイインカム(毎月分配型)(ブラジルレアルコース)

第5位:楽天日本株トリプル・ブル

第6位:フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)

第7位:ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)

第8位:楽天日本株トリプル・ベアⅢ

第9位:日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)

第10位:<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド

ここまでが上位10ファンドですが、どのような傾向が見て取れるでしょうか。

やはり日本株に強気な日本の個人投資家

アベノミクスは終わった!なんていう声も大きくなってきていますが、なんだかんだ言っても日本株に強気の個人投資家が多いことが分かります。

第1位の「楽天日本株4.3倍ブル」は日本株の上昇にレバレッジをかけたいという気持ちの裏返しでしょうし、第2位の「ニッセイ日経225インデックスファンド」は、レバレッジをかけないにしても、信託報酬の安い日本株のインデックスファンドで日本株式のリバウンドを取りたいというという思惑が透けて見えます。

ただし、一方で第8位に「楽天日本株トリプル・ベアⅢ」がランクインしていますが、ここからは日本株に対して弱気な側面も透けて見えます。日本株に強気な投資家が多い一方、弱気な投資家も存在し、強気と弱気が入り混じる状況と言えるでしょう。

低金利の中でのREITはやはり人気

次なる特徴は、グローバルREIT関連投資信託が複数ランクインしていることです。第3位に「ワールド・リート・オープン(毎月決算型)」、第6位に「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」、第7位には「ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)」となっています。

日本の金融政策上初めてマイナス金利が導入され、株式市場はそのインパクトをうまく消化しきれず、相場が乱高下する背景となってしまいましたが、今後は投資家がいわゆる「金利モノ」金融商品の資産運用に困ることは間違いないでしょう。

REITは低金利のメリットを受けることができます。日本銀行もマイナス金利を導入しましたが、米国の中央銀行にあたるFRBも金融政策のスタンスに変化が出てきています。FRBは当初2016年に年間4回の利上げをもくろんでいましたが、そのトーンも落ちてきているようです。

「金利モノ」の金融商品に投資をしていた投資家が資産をシフトする先としてのREITは、選択肢としては合理的とも言えます。日本の個人投資家は、今後の世界の金利水準の上昇をそれほど見込んでおらず、コツコツとREITを買っているのかもしれませんね。

それでも世界の経済成長にかける日本の個人投資家

最後に注目したいのは、第10位の「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」です。世界中で株安が続く中、日本の個人投資家は世界の株式に現時点では強気ということではないでしょうか。

一部では今回の株式相場の下落局面がリーマンショック時の相場の動きに似ていると指摘する向きもあります。どこまで株安が続くのかは計り知れませんが、日本の個人投資家は世界の経済成長とともに上昇するであろう株価上昇をしっかりと取っていきたい、と考えているのでしょうか。

【2016年2月21日 投信1編集部】

■参考記事■

>>外国株式の投資信託の選び方

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>>失敗しない投資信託の選び方:おさえるべき3つのNGと6つのポイント

LIMO編集部