東芝の白物家電事業買収と報じられた「美的集団」とは?

今後の注目点は中国スカイワースとの関係

美的集団とはどのような会社か?

2016年3月15日、東芝が課題事業であった白物家電事業を中国家電大手の「美的集団(Midea Group)」に売却する交渉に入ったと複数のメディアが報じています。

台湾の鴻海精密工業(以下、ホンハイ)は、シャープの買収ですっかり有名になりましたが、美的集団については、まだあまり知られていないのではないかと思います。まず、美的集団の概要を見てみましょう。

美的集団は1968年に中国で創業された家電メーカーで、売上内訳(2015年12月期上期)は、エアコンが54%、小物家電が24%、冷蔵庫、洗濯機がそれぞれ7%、電子機器(コンプレッサー、モータなど)が5%、ロジスティクスが3%となっています。

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中国家電市場では、電磁調理家電、電子レンジ、炊飯器などでトップ、エアコン、洗濯機では2位、冷蔵庫では3位の市場シェアを確保している大手家電メーカーです。

2014年12月期の売上高は約2.2兆円(1中国元=17円換算)、純利益は1,800億円、時価総額(同社は中国の深セン株式市場に上場)は約2.2兆円であり、ホンハイを100とすると、売上高は15、純利益は40、時価総額は48という規模感となります。

売上高はホンハイと比べるとかなり小粒ですが、利益はしっかりと出ており、時価総額もホンハイの半分程度に達しています(東芝の現在の時価総額は9.000億円弱ですので、それと比べても相当な大企業であることがわかります)。また、2014年末の株主資本比率は33%、DEレシオは0.5倍と財務体質も比較的健全のようです。

東芝の2016年3月期Q3累計(2015年4-12月)の白物家電事業の売上高は1,658億円に過ぎませんでしたので、この買収は「大が小を飲む」買収となりそうです。

現時点で買収金額は明らかになっていませんが、美的集団の事業規模、時価総額から見て、買収するだけの余力は十分にあると見てよさそうです。ちなみに、東芝の家電事業は長きにわたり低採算事業であったため、医療機器のようには高値での売却は困難と見られます。

今後の注目点

2015年10月に、東芝は中国市場での冷蔵庫、洗濯機、掃除機の販売権を中国のスカイワース社に与えるとともに、中国にある東芝の生産子会社2社が5%の出資をスカイワースから受けると発表しています。

また、2015年12月に「新生東芝アクションプラン」を発表。この中でインドネシアのテレビ・白物家電工場をスカイワースへ売却し、洗濯機については二漕式の自社生産を終了し、ドラム式と全自動に特化するとしています。

このため、仮に美的集団への売却が進展した場合、中国でのスカイワースとの関係がどのように変化するかが注目されます。

また、「新生東芝アクションプラン」で、東芝は家電事業の人員について2016年3月末までに前年比1,800人を削減するとしていますが、それでも2016年3月末の従業員数は1万2,800人の見込みです。

美的集団はこれだけの大所帯を丸ごと引き受けてくれるのか、あるいは、売却前にさらなる追加リストラを迫られるのか気になるところです。

とはいえ、東芝の家電部門も国内に閉じこもるだけでは先が見えないことも事実です。短期的にはなお一層痛みが伴う事業再編を迫られる可能性はありますが、体力のある中国メーカーと組むことで、再び世界に向けて魅力的な家電製品が提供される日が訪れることを切に願いたいと思います。

【2016年3月16日 投信1編集部】

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投信1編集部

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