レビュー:原油の需給改善期待と欧州中央銀行の金融緩和拡充が相場を支えた1週間

先週(3月7日‐3月11日)は、資源国を中心に新興国株が引き続き世界の株式市場を牽引しました。

注目すべき材料は2つありました。

第1に、国際エネルギー機構(IEA)などが原油価格の底入れを示唆するなど、需給改善期待から原油相場の回復が続きました。既に、年初来の下げを解消した水準に戻っています。

第2に、欧州中央銀行が金融緩和策を拡充しています。さらなる追加緩和策はないというドラギ総裁の発言に市場はいったん失望を見せましたが、その後見直されました。

これらの結果、ゴールド・プラチナを除く資源価格が上昇し、その恩恵を受けるロシア・オーストラリア・ブラジルなど資源国の株式市場の上昇が目立ちました。欧米の株式も堅調な推移となりました。

一方、経済減速を示す指標が相次ぐ中国の上海株式市場は反落しました。TOPIXもこれにつられ下落しています。

また、ユーロが対ドル、対円に対して上昇しています。

先週の主要市場の動き

注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示

年初来の主要市場の動き 

注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示

アウトルック:日米の金融当局の次の一手を見定める1週間に

今週(3月14日‐3月18日)は、日米の金融政策に焦点が移るでしょう。

日銀政策決定会合が3月14-15日、米国の連邦公開市場委員会(FOMC)が15-16日に開催されます。特に米国の利上げの方向感は重要ですが、これを占う意味で2月の小売売上高(15日)、消費者物価指数(16日)も注目です。

また世界の景気を見る上で、フェデックス(16日)、ナイキ(18日)の決算内容も気になります。

市場は年初来混乱が続きましたが、原油価格の回復を始めとしてその収拾が進み、リスクオンの動きも出てきています。経済指標を見る限り、日米の金融政策がこうした市場のセンチメントを一気に冷ますとは考えにくく、適温相場が続きそうです。

日本ではIPOの多い週になりますので、新興市場が熱くなりそうです。ここは、全人代が閉幕を迎える中国からの経済政策の発信を期待したいところです。

【2016年3月13日 投信1編集部】

■参考記事■

>>資産運用の始め方に迷ったらとりあえずバランス型投資信託

>>失敗しない投資信託の選び方:おさえるべき3つのNGと6つのポイント

>>ネット証券会社徹底比較:株も投資信託も気になるあなたへ

LIMO編集部