災害時のスマホの充電に朗報―マグネシウム空気電池の関連企業は?

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この記事の読みどころ

2016年3月2日~4日、東京ビッグサイトで開催されたスマートエネルギーWeekの二次電池展では、「マグネシウム空気電池」に対する関心の高さが伺えました。昨年は株式市場でも同電池が注目され、関連メーカーの株価に影響を与えたことは記憶に新しいところです。

東日本大震災のような緊急時に、スマホなどの携帯端末が電池切れとなる情報遮断は深刻な問題です。長期保存が可能で水を加えるだけで発電し、スマホ数十台のフル充電を可能にするマグネシウム空気電池は、非常に有用なものと言えるでしょう。

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関連メーカーは古河電池(6937)、藤倉ゴム工業(5121)の2社です。古河電池は2014年12月から主に自治体向けに販売をしており、新たに一般家庭向けも発売。藤倉ゴムも2016年夏ごろから販売を開始するようです。

スマートエネルギーWEEK2016で気になったマグネシウム空気電池

毎年3月に東京ビッグサイトでは、太陽電池、バイオマス発電、二次電池など新しいエネルギー分野に関する大掛かりな展示会「スマートエネルギーWeek」が開催されます。

筆者は毎年、時間があれば会場を回り、興味を持った製品にスポットライトを当てることにしています。今回はスマートエネルギーWeek内の第7回二次電池展で、「マグネシウム空気電池」を展示した企業のブースに興味を持ちました。説明を聞く人も多く、同電池への関心の高さが感じられました。

二次電池と言われる蓄電池では鉛電池、リチウムイオン電池が有名です。一方、マグネシウム空気電池は再利用ができない一次電池ではありますが、東日本大震災のような緊急時において、スマホなど携帯機器の電池切れによる情報遮断を解決する有力な非常用電源として注目されています。

操作はいたって簡単で、水や海水などを電池ボックスに入れるだけで、1つの電池ボックスで200~300Whの電力を発電できるとのこと。一見地味な製品ですが、災害時の備えとして有用なものになりそうです。

東日本大震災が古河電池のマグネシウム空気電池開発のきっかけに

2014年12月から既にこの電池の販売を開始している古河電池は、2011年3月11日の東日本大地震とその後の大津波によって、福島県いわき市の同社工場が被災し、停電に見舞われました。

同社では自動車のバッテリーで急場をしのいだものの、いざという時にすぐ利用でき、長期間保存可能な電池があれば、という思いが、非常用電源であるマグネシウム空気電池開発の大きな動機となったそうです。

同社のマグネシウム空気電池「MgBOX(マグボックス)」は、紙製のボックスにマグネシウムの負極材、酸素を取り込む炭素シートの正極材を組み込み、非常時に水ないし海水を2リットル流し込むだけで発電できるというものです。リチウム同様、イオン化しやすいマグネシウムの特性を応用しています。

MgBOXではUSBケーブルでスマホを最大30回*フル充電でき、使用後は燃えるゴミとして処分できるとのこと。また、新たに一般家庭向けの「MgBOX slim(マグボックス スリム)」も販売するそうです。

*「MgBOX slim」はフル充電最大20回

藤倉ゴムも今夏から販売開始予定

電線回りのゴム製品を手掛ける藤倉ゴムも、2016年夏ごろから「WattSatt」の名前で販売を開始する予定です。ケースはプラスチック製であるところが紙製の古河電池「MgBOX」との違いです。

こちらも一台の電池でスマホ30台をフル充電でき、しかも、電池から5つのUSBケーブルが接続できるため、5台同時に充電できるのが大きな特徴となっています。付属する塩に2リットルの水を加えて電解液を作り発電する点は古河電池製と同じ原理です。

価格は両社とも1台あたり数万円といったところだそうです(MgBOX slimは1万5千円ほど)。どのくらいの市場性を持つかは不透明ですが、地震、台風など災害の多い我が国では、世界で初めて開発に成功した必然性はあると言えるでしょう。水を加えるだけで発電するという単純な原理の応用範囲は意外と広いかもしれません。

あの大震災から5年目を迎えるにあたり、改めて、日頃から災害時に備えることの重要さを認識させられました。

【2016年3月7日 投信1編集部】

■参考記事■

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投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。