テクノロジー格差はクラウドファンディングで埋められるか? TEDフェローの投資行動から考える

g0d4ather / Shutterstock.com

テクノロジーの発展が格差を助長している?

2015年は格差に関して2つの重大な発表がありました。

1つ目は、経済協力開発機構(OECD)が過去50年間にわたり34か国を対象にデータ分析を行ったもので、「金融市場が大きな国ほど経済発展は鈍化し、貧富の差を生んでいる」という結果です。もう1つは、2015年末のマッキンゼーによる発表で、「テクノロジーの進歩は、これを利用できる者とそうでない者の格差を拡大させている」というものです。

続きを読む

この指摘は、テクノロジーの発展が貧富の差を縮めているものと信じていた人々にとっては衝撃でした。

事実、インターネットや携帯電話は、世界のほぼ全ての人々がそのサービスの恩恵を受けられるまでになりました。しかし、一定のレベルを超えたハイテク技術が利用できるのは、財力のあるほんの一部の人や企業のみ。このため、いくら革新的な技術を開発しても、それが格差を縮めるどころか、かえって助長しているとの結論が出されたのです。

テクノロジー開発のトリクルダウン理論は神話か?

人々の生活をより良くする道具であるはずのテクノロジーの恩恵は、結局一部のお金持ちしか受けられていないかもしれない。この調査結果に、もしかしたら、自分が想像する以上にテクノロジーのトリクルダウンは起きていないのではないか、と考えさせられた人々は少なくありません。

この考えについては、TEDフェローで技術投資家でもあるジョン・ゴシアー氏も言及しています。

たとえば、東アフリカでは土地の所有者の権利を守ることを目的に、クラウド上の土地管理データシステムが開発されました。しかし、このメリットを最も多く受けたのは現地コミュニティーの人々ではなく、データにアクセスすることができ、結果として土地の買い占めを行った外部の投資家であったとのことです。

ゴシアー氏はまた、テクノロジー開発における問題にも警鐘を鳴らしています。詳しくはこちらのTEDプレゼンテーション動画を参照していただきたいのですが、技術の開発や普及をする上でやってはいけないことは、効率性(efficiency)と効能性(efficacy)をはき違えることである、とゴシアー氏は訴えています。

クラウドファンディングがテクノロジーの格差を是正

ゴシアー氏は、クラウドファンディングは、単に金融サービスにアクセスする機会の平等性だけではなく、テクノロジーへのアクセスの偏りも是正することができると主張しています。

同氏はAppfricaという投資型クラウドファンドを運営しており、12か国の16の企業への投資を行ってきました。このうちの1つが、2015年に西アフリカで猛威を振るったエボラ出血熱に関する情報発信を行うメディアサイトの運営会社です。

エボラ出血熱の感染拡大の最も大きな原因は、人々の情報の欠如でした。エボラ出血熱の脅威にさらされている人々こそ、伝染病の情報に接することができるべきである。ゴシアー氏はこのように考え、一般的な携帯電話しかもっていない人でもエボラ出血熱情報に関して送られるボイスメール、テキスト、画像を見たり聞いたりできるシステムの開発に投資をしました。

彼の投資先には他にも、ウガンダやエジプトのベンチャー企業があり、携帯電話さえあれば、SIMカードが搭載されていなくてもメッセージを送り合えるシステムの開発を実現させました。これは、選挙を控えた政府が、政治に関する批判的なメッセージが携帯電話を通じて拡散されないように制限していたことに対抗するための画期的なサービスでした。

これらのアイデアを形にするためには、テクノロジーへの投資が欠かせません。ゴシアー氏は、これまで高度なテクノロジーを駆使することができなかった人や企業に、より平等な機会を与えるために、クラウドファンディングを活用すべきだと言います。

クラウドファンディングは、これまで融資や投資を受けられなかった事業や企業に起業やビジネス拡大のチャンスを与えると同時に、そうした企業やその顧客が少しでも多くの最新テクノロジーを利用できるようにすることで、テクノロジーにおける格差を軽減する効果もあるとゴシアー氏をはじめとした人々は考えています。

クラウドファンディングへの投資を考えている方は、ぜひ一度、投資先をテクノロジーという観点からも見てみてはいかがでしょうか。

出所:Crowdfund Insider (2015) Crowdfunding is Impacting the Global Economy; Mckinsey & Company (2015) Digital America: A Tale of the Haves and Have-Mores; The Guardian (2015) OECD: large banking sectors widen inequality and slow growth; Voice of America (2015) Simple Cellphones Seen as Key to Improving Ebola Education, Reporting;

【2016年3月29日 クラウドクレジット】

■参考記事■

>>失敗しない投資信託の選び方:おさえるべき3つのNGと6つのポイント

>>ネット証券会社徹底比較:株も投資信託も気になるあなたへ

クラウドクレジット

世界の資金需要者と個人投資家をつなぐ金融プラットフォームをつくるフィンテック企業として2013年1月に設立。
2014年6月から投資型クラウドファンディング・サービス「クラウドクレジット」を提供。当初はラテンアメリカのペルーに投資を行うファンドを提供し、2015年からはフィンランドやスペインをはじめとする欧州諸国の個人向けローンに投資を行う。
2016年はアジア、アフリカ諸国での投融資を開始し、2017年に五大陸で投融資を行うプラットフォームになる予定。