この記事の読みどころ

2016年3月20日に日本経済新聞社による「第28回人気アナリストランキング」が発表されました。筆者も経験がありますが、証券アナリストたちにとっては、結果が出るまで落ち着かない日々が続きます。

26の産業分類によって証券系(セルサイド)のアナリストに、機関投資家(バイサイド)が投票を行います。今回は今年1月上旬から下旬に調査票が機関投資家1,261人に送られ、回収率は67.3%でした。

産業別のトップアナリスト(第1位)の獲得点にもバラツキがあります。高い得点は機関投資家の関心度が高い産業、即ち有望な業種・テーマに集中する傾向があります。

アナリストランキングの点数はどのように決まるのか

アナリストに対する機関投資家の評価は様々です。銘柄選択が適切、業績予想が良く当たる、推奨のタイミングが良い、プレゼンテーションが上手い、などなど多くの評価ポイントがあります。

こうしたアナリストの総合的な銘柄投資判断、レポートの質・量、アナリストの個性などが絡み合って人気度が形成されます。ただ、各部門のトップアナリストの獲得点には担当する業種・産業によってバラツキが出ます。

これは、その業種・産業の魅力度、言い換れば成長性、有望性がある産業のアナリストに多くの点数が入るのだとも思われます。

注目度の高い業種・産業は何か

筆者は毎年発表されるアナリストランキングを見て、誰がランクインしたのかを見るのも楽しみではありますが、トップアナリストに入る獲得点の多少で機関投資家が興味を持っている業種、テーマを探ることも楽しみのひとつです。

2016年3月20日付の日経ヴェリタスに掲載された結果を見ると、トップアナリストが高得点をマークした業種には、証券・保険・その他金融、放送・広告、機械、小売り、自動車部品、建設、家電・AV機器などがあげられます。では、どんな点に機関投資家が注目したのでしょうか。筆者の独断で列挙してみると以下の通りです。

証券・保険・その他金融:フィンテックの可能性、マイナス金利の影響などへの関心

放送・広告:2016年にリオ五輪、参議院選挙など大規模なイベントが多い点への関心

機械:自動化、ロボット、センサー、人工知能(AI)、IoTの可能性への関心

電力・ガス:電力・ガスの小売り自由化が進展することによる影響への関心

小売り:短期的には厳しい環境だがインバウンド、外国人観光客増による消費への関心

自動車部品:今年から解禁されるミラーレス車など自動運転に絡む技術への関心

建設:復興需要、ビルの建替え・高層化、東京オリンピックなど堅調な需要見通しへの関心

家電・AV機器:パナソニック、ソニーの復活、シャープなどの再編の動きへの関心

産業別トップアナリストの獲得点

産業名 獲得点 産業名 獲得点
証券・保険・その他金融 1076 電子部品 723
放送・広告 943 ビジネス・ソリューション 715
機械 939 通信 714
電力・ガス・石油 906 レジャー・アミューズメント 673
小売り 878 銀行 649
自動車部品 857 インターネット・ゲーム 624
鉄鋼・非鉄 836 自動車 612
建設 823 医薬品・ヘルスケア 607
家電・AV機器 806 住宅・不動産 604
精密機械・半導体製造装置 780 造船・プラント 579
産業用電子機器 773 ガラス・紙パ・その他素材 522
食品 744 化学・繊維 518
商社 737 運輸・倉庫 473

出所:日経ヴェリタス(2016年3月20日)をもとに筆者作成

注目度の低い業種・産業は何か

反面、相対的に獲得点数が少ない業種も見られます。たとえば、自動車、医薬品・ヘルスケア、住宅・不動産、化学・繊維、運輸・倉庫などの業種です。

自動車のように既にピークを打った業種、原油が下がって収益にマイナスになる化学のような業種、超金融緩和下にも関わらず盛り上がらない住宅需要などは、株式投資に関する魅力度が減衰したと機関投資家が見ているのではないでしょうか。

ただ、投票をする側の機関投資家は「金融商品取引法」でプロの投資家と規定されていますが、言うまでもなくいつも投資対象の選定が当たるとは限りません。想定外の環境変化、リスクは付き物だからです。

最後に、このアナリストランキングは「人気アナリストランキング」という正式名称が示している通り、人気度を示しているものであって、アナリストの推奨が当たった、外れたというランキングではありません。やはり、最後は投資家の皆さん自身の判断で最終決定しないといけませんね。

【2016年3月28日 投信1編集部】

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LIMO編集部