株式市場の振り返り-5営業ぶりに上昇、久々の大幅高に

2016年3月22日(火)、3連休明けの東京株式市場は5営業日ぶりの反発となりました。日経平均株価は前日比+1.9%の上昇、TOPIXも+1.8%の上昇で引けています。東証マザーズ総合指数も+1.5%上昇しました。

日経平均株価は、海外市場の株高、円高進行の一服などを好感する形で、寄り付きから高く始まりました。その後間もなく、前日比+382円高となる場面が見られましたが、後場に入ると売りに押されて17,000円を下回る推移となりました。しかし、その後は再び切り返して、最後は前日比+323円高の17,048円で引けました。久しぶりの大幅高となっています。

東証1部で上昇したのは1,732銘柄、値下がり163銘柄、変わらず51銘柄でした。東証1部の出来高は20億1,411万株、売買代金は2兆1,784億円(概算)となっています。相変わらずの閑散状況で、大幅高も素直に喜べないというのが正直なところでしょう。

セクター動向と主要銘柄の動き-32業種が上昇、鉱業のみが下落

東証1部で上昇したのは32業種、下落したのは1業種(鉱業▲0.7%)だけでした。上昇率上位は、その他製品+3.8%、精密機器+3.2%、医薬品+2.8%、海運+2.6%、輸送用機器+2.5%などでした。内需関連、外需関連とも総じて買われた印象です。

個別銘柄では、トヨタ自動車(7203)や富士重工(7270)などの自動車株に加え、デンソー(6902)やケーヒン(7251)などの自動車部品株が軒並み上昇しました。また、日立製作所(6501)、東芝(6502)、日本電産(6594)などのハイテク株も上昇が目立っています。その中でも、任天堂(7974)の大幅高がひと際目を引いたと言えましょう。その一方で、パナソニック(6752)、キヤノン(7751)、スズキ(7269)、みずほフィナンシャルグループ(8411)などの主力株が値下がりしています。

本日のポイントと注目テーマと関連業種-絶対に許せないテロ事件が、株式相場の膠着状態を打ち破るか

3連休明けの22日(火)は大幅高となりましたが、出来高などを見る限り、本格的に上昇するエネルギーが不足しています。やはり、『閑散に売りなし』だったのではないでしょうか。東京の桜は開花しましたが、株式市場の開花はまだもう少し先のようです。

先週で国内外の大きなイベントも終わり、当面は国内の景気対策に目が向けられると思っていた矢先、ブリュッセル(ベルギー)で大きな連続テロ事件が発生しました。ブリュッセルでは先週、昨年11月に起きたパリ連続テロ事件の主犯が逮捕されたばかりで、厳重警戒が続いていたと推測されます。その中で起きたということは、テロ犯人が正面から挑戦状を突き付けたということでしょう。理由の如何に関係なく、テロ行為は断じて許されません。1日も早く平和な日々が戻ることを願わずにはいられません。

しかし、やや不謹慎かもしれませんが、こうした大きなテロ事件は、膠着状態が続く株式相場を動かす“起爆剤”になる可能性があります。なぜならば、こうした予期せぬ事件が起きると、先ずはリスク回避のアクションが出てきます。具体的には、欧州株売り、ユーロ売り、実物資産(金など)買い、等です。ところが、こうしたリスク回避のアクションは過剰気味になる傾向が強く、その後に“揺り戻し”の動きが出てきます。世界の大きな市場(今回は欧州市場)でこのような動きが出ると、グローバル化した金融市場では、それが他の市場にも波及しやすくなっています。

実際、昨年11月に起きたパリ連続テロ事件の後、日本を含めた世界中の株式市場は活発な動きが見られました。今回も、この忌まわしいテロ事件が起爆剤となって、株式相場が動き出す可能性は十分あると考えられます。特に、今の株式市場は材料難で膠着状態が続いているため、格好の材料になっても不思議ではありません。ただ、その後の動きが、上昇に向かうのか、下落に向かうのかは十分に注意が必要です。

欧州向け比重の高い輸出関連株に注意、内需関連では不動産セクターに注目

 

このような状況の中、短期的には円高が再度進むことも考えらえます。したがって、23日(水)は、輸出関連株の反落、とりわけ、欧州事業の比重が高い“欧州関連株”の下落懸念に注目します。逆に、内需関連株の中では、金利低下メリットが大きい不動産セクターに注目しましょう。ただ、前述したように、株価の動きが大きければ大きいほど、その後の揺り戻しも大きくなります。いずれにせよ、株式相場が動き出すタイミングを注視しましょう。

【2016年3月22日 投信1編集部】

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LIMO編集部