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過去25年間における4月の株式相場は、意外に強く、乱高下も激しいのが特徴です。

今年4月前半を振り返ると、過去25年間のアノマリーが見事に継続されています。後半も良くも悪くも波乱の展開が予想されます。

日銀の金融政策決定会合が注目です。また、決算発表が集中する最終週は、株価が大きく動く可能性があります。

過去25年間の4月の株式相場を振り返る

決算期後の4月相場に対する印象は薄い?

改めて、皆さんは4月の株式相場にどのような印象を持っているでしょうか。期末の3月相場の直後だけに、その反動で弱い相場というイメージがあるかもしれません。また、月末から本格化する3月期の本決算発表を控えて、動きの少ない静かな相場というイメージもあるかもしれません。

意外や意外、4月相場は思いの外強く、乱高下も激しい

実は、4月の株式相場は意外に強い一方で、乱高下も激しいという特徴があります。そこで、前月末の株価、つまり、3月末の株価との比較を見てみましょう。

すると、1991年~2015年までの25年間では、4月末の株価が3月末を上回った(4月末>3月末)のは、半分超の15回あります。意外に多いと感じた人も少なくないでしょう。

さらに、もう少し視点を変えて、同じ期間における3月末と4月の高値との比較を見てみましょう。すると、25回中24回で、4月の高値は3月末を上回っています(4月高値>3月末)。

これは極めて高い確率ですし、1993年から2015年まで23回連続して記録しています。また、唯一下回った1992年もほぼ横這いであり(▲0.0%)、少なくとも、大きく下落したことが一度もありません。つまり、4月は3月末終値より高くなる局面となる可能性が非常に高いということです。これも意外な感じです。

一方、同じ期間における3月末と4月の安値との比較を見てみましょう。すると、今度は25回全てにおいて4月の安値は3月終値を下回っています(4月安値<3月末)。つまり、4月中は必ず3月末より安くなるということです。

出所:SPEEDAをもとに筆者作成

これらの結果から、4月の株式相場は平穏どころではなく、値動きが激しいと言えましょう。しかも、決算期末の翌月としては、意外に強い相場であることもわかります。

4月前半の株式相場を振り返る

こうした過去のアノマリーを踏まえて、今年4月の前半を振り返ってみましょう。

前半だけでアノマリーを踏襲

4月は初日の大幅下落でスタートしました。そして、そのまま下落相場が続き、6日にはアベノミクス始動後では初の7日続落を記録しました(注:3月29日からのカウント)。このまま下落が続くのかと思った時、株式相場は急反転し始めます。トントン拍子で戻った株価は、14日には3月末終値を上回りました。

この14日の株価が月中の高値になるかどうかはまだわかりませんが、少なくとも、一度は3月末終値より高くなるというアノマリーが継続することになりました。過去26年間で25回目となります。

しかし、15日から再び下落し始め、18日には大幅安となりました。まだ2週間弱を残していますが、4月相場は乱高下するというアノマリーも継続される見込みです。後半はさらに乱高下するのか注目されます。

2016年4月後半の注目イベント、注目セクター

日本の金融政策に大きな注目集まる

4月後半は重要イベントが目白押しです。まずは、日米の金融政策に注目です。米国のFOMCが4月26~27日に実施され、日本では日銀金融政策決定会合が27~28日に行われる予定です。ただ、今回はFOMCの終了後に議長会見は行われないため、利上げ実施などの大きな動きはないと見られます。

それだけに、日本の金融政策に大きな注目が集まりましょう。しかも、日程的にはFOMCの後に実施されるため、追加緩和を含めて、何らかの動きが出るのではないかという憶測が消えません。ゴールデンウィーク前の大きなイベントと言えましょう。

3月期決算の集中発表シーズン到来

そして、最終週(25日~)は3月決算企業の決算発表が本格化します。決算発表は、その内容が織り込み済みであったとしても、“イベント型”ヘッジファンドから見れば、格好の材料になります。

最近は場中に発表するケースも増えているため、株価の乱高下に注意が必要でしょう。特に、今回は為替相場が変動しており、輸出関連企業の見通しがいっそう重要視される可能性が高いと言えます。

こうした中、決算発表(2月期)が一足早く終わった小売セクター、円高影響が懸念される自動車セクターや精密機器セクター、国内景気対策が実施された場合の恩恵が期待できる建設セクター、不動産セクターなどに注目したいと思います。

2016419日 投信1編集部】

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LIMO編集部