なぜ決算発表を振り返る必要があるのか

決算の速報は決算発表直後の株価を考える上で役立ちます。また、数日を経て、その後の株価動向や他社の決算を踏まえて読み返すことも重要です。

その理由としては、企業が決算発表するタイミングは重なることが多く、決算シーズン中に見落としてしまった銘柄に関して決算後の株価推移や注目点を改めて振り返ることで、新たな気づきが生まれるからです。

決算「速報」のまとめ

今回は、決算発表が既に終了した小売り企業の決算の内容と注目ポイント、決算後の株価の推移を振り返ります。

主要小売銘柄の決算内容は、個人投資家の資産形成を応援する金融経済メディアLongine(ロンジン)の「速報」というコンテンツからピックアップしています。Longineの「速報」とは、企業決算内容の分析を決算発表当日から翌取引日の午前9時までにお届けするコンテンツです。

本記事では2016年4月12日から14日までにLongineで発行された「速報」まとめをお届けします。

エービーシー・マート

エービーシー・マート(2670)2016年2月期決算。スニーカーブームの恩恵続くが利益には物足りなさ(2016年4月12日発行)

Longineの決算発表後の第一印象は、メジャーブランドのスニーカーブームで増収増益基調が続いていますが、利益成長には物足りなさを感じるというものでした。

一方、決算発表翌日の4月12日の終値は株式市場全体も上昇し地合いもよかったことに加え、同社の決算内容を好感したこともあり、7,130円と前日比+140円高となりました。

株価は一時上昇しましたが、結局4月22日終値は7,090円と、ほぼ横ばいに留まっています。決算発表時にも指摘したように、スニーカーブームの持続性やPB販売の強化策、韓国での事業拡大策などを精査する必要がありそうです。

良品計画

良品計画(7453)2016年2月期決算。素晴らしい増収・増益決算だが、サプライズに乏しい(2016年4月13日発行)

Longineの決算発表後の第一印象は、実績は東アジア地域の寄与により経常利益が大幅増益となっているものの、2017年2月期の会社予想はコンセンサスに届かずインパクト不足で株価に対しては中立の印象というものでした。

一方、決算発表翌日の4月13日の終値は株式市場全体も上昇し地合いもよかったこと、及び、同社の決算内容を好感したこともあり24,690円と前日比+1,440円高の大幅高となりました。4月22日終値も25,450円と、さらに+760円上昇した水準にあります。

しかし、ここからいっそう買い進むためには、同社が2桁の利益成長を確かにするための、今後の中国における品揃え・価格・出店の舵取りに注目したいと思います。

髙島屋

髙島屋(8233)2016年2月期決算。実績、会社予想ともにサプライズなき決算(2016年4月13日発行)

Longineの決算発表後の第一印象は、増収・増益基調が続くものの、実績、予想ともにサプライズはなく、反転のきっかけとしては力不足でというものでした。

決算発表翌日の4月13日の終値は815円と前日比▲50円の下落となり、4月22日終値は847円とやや上昇した水準にあります。ここからは、インバウンド効果の持続性、及び、JR新宿駅南口周辺で人の流れが増加したことによる恩恵などを見守りたいと思います。

イオン

イオン(8267)2016年2月期決算。内部成長力と当期純利益で見れば、強気になる局面ではない(2016年4月14日発行)

Longineの決算発表後の第一印象は、実績は営業利益、経常利益は二桁増益にもかかわらず、当期純利益は大幅減益であったことや、2017年2月期会社計画の純利益も100億円と低水準に留まる見込みであったために株価に対して「ネガティブ」というものでした。

一方、決算発表翌日の4月14日の終値は1,665円と前日比+84.5円高になりましたが、4月22日終値に関しては結局1,662円と、ほぼ横ばいの水準です。他社が縮小し始めたGMS事業で残存者メリットを享受できるのか、それとも、引き続き構造不況が続くのかの見極めが重要と考えられます。

ローソン

ローソン(2651)2016年2月期決算。中核のコンビニ事業が弱め(2016年4月14日発行)

Longineの決算発表後の第一印象は、成城石井のM&A効果を除くと営業利益は減益であり2017年2月期の計画もコンセンサスより低く、株価には「ややネガティブ」な印象というものでした。

一方、決算発表翌日の4月14日の終値は8,790円と前日比▲310円安となりました。4月22日終値も8,760円とほぼ横ばいの水準です。今後は経営新体制の経営手腕、特に他のコンビニとの違いをどう見せて収益を上げるのかなどに注目したいと思います。

最後に

いかがでしたでしょうか。各社ごとの注目点等がご理解いただけたのではないかと思います。

今後、たとえば、なぜ良品計画は中国での景気がスローダウンするようなリスクがあるにもかかわらず株価は決算後と比べて上昇しているのだろうかなど、さらに気になることがあったとしたら、そこを出発点にして決算資料を読み込むなどの銘柄研究を始められる良いきっかけになるのではないでしょうか。

【2016年4月25日 投信1編集部】

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LIMO編集部