自動車決算の勘所:円高進行による業績悪化はまだ織り込まれていない

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大型連休前に行われた自動車関連銘柄の決算発表は、2016年3月期の計画未達、2017年3月期の大幅減益予想などが大きな特徴でした。

4月末の株式相場急落、及び、急速な円高進行などを考慮すると、連休明けに発表される決算では、さらに厳しい会社予想が公表される可能性が高いです。

株価は足元の円高進行などを完全に織り込んだとは言えません。底値を狙わずに、安値を狙う心掛けが重要です。

GW前の決算発表は例年より少ない

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大型連休(以下、GW)前に行われた自動車関連企業の決算が出揃いました。自動車メーカーは、例年GW前に発表していた富士重工(7270)やホンダ(7267)がGW後の発表となったため、少し盛り上がりに欠けたと言えます。

その結果、トヨタ自動車(7203)や日産自動車(7201)を含めた多くの主力企業の決算発表は、GW明けに集中することになりました。一方、自動車部品メーカーは、デンソー(6902)などの主力企業が発表を行いましたが、例年よりは数が少なかった印象があります。

結局、GW前は全体の3~4割くらいしか決算発表が行われませんでしたが、いくつかの特徴が見て取れます。そして、これらの特徴は、GW後の決算発表にも見られる可能性が高いと言えましょう。

2016年3月期実績の計画未達が少なくない

2016年3月期実績が会社計画未達となったケースが多く見られました。これは言い換えると、終わったQ4(1-3月期)が思った以上に芳しくなかったということです。

最大の要因は円高の影響だと見られますが、トヨタが2月に実施した国内工場の操業停止(1週間)の影響もあったと考えられます。しかし、それを勘案しても、Q4の収益悪化が著しいのが特徴です。

2017年3月期の会社予想は減益見通しが多い

元々、期初時点に公表する今回の会社予想は、相当に厳しいと見られていたはずです。しかし、実際に各社の予想数字が出て来ると、保守的な予想とは言い切れないものが多くありました。

まず、前提となる為替レートは、4月中旬から若干の円安が進んだこともあり、マツダ(7261)やデンソーなど、110円/ドルを採用した会社もありました。一方で、日野自動車(7205)や豊田自動織機(6201)など多くのトヨタグループ企業は105円/ドルとなっています。

こうした前提条件に違いはあるものの、ほとんどの会社が減益見通しとなっています。しかも、営業利益では2桁減益(▲10%減超)を予想している会社が少なくありません。さらに、4月末に株式相場が急落して円高が進んだことを考慮すると、こうした厳しい会社予想の中ですら、楽観的と見られるものがあります。

なお、三菱自動車(7211)は一連の不正改ざん問題の影響、アイシン精機(7259)は熊本地震の影響、そして、ダイハツ工業(7262)は7月下旬で上場廃止になるため、2017年3月期の会社予想は公表されていません。

GW明け後に発表される決算は、さらに厳しい会社予想となる

連休が明けた翌週、つまり、5月9日(月)から主力企業を中心に、決算発表が再び本格化します。現時点では、終わった2016年3月期の実績、及び、2017年3月期の会社予想とも、大きな警戒感を持って臨む必要があると言えましょう。最早、前提となる為替レートで110円/ドルはあり得ないでしょう。

恐らく、多くの会社が105円/ドルを採用すると思われますが、中には100円/ドルを前提にする会社があっても不思議ではありません。もちろん、為替レートだけで業績が決まるわけではありませんが、とりわけ、自動車メーカーにとって非常に大きな要素であることは確かです。

105円/ドル前提なら営業利益は▲30%超の会社予想が妥当

1つのベンチマークになるのが、既にGW前に決算発表を終えたマツダの会社予想だと思われます。マツダが110円/ドル前提で営業利益▲25%減とした2017年3月期の会社予想は、為替影響の大きい自動車メーカーなら、発表時点では妥当だったと考えられます。

しかし、GW明けに決算発表が行われる主力自動車メーカーは、ほとんどが105円/ドル前提になると思われますから、各社の営業利益は▲30%超の大幅減益予想と見ておくべきでしょう。場合によっては、▲40%減を超える営業利益の予想を出す会社があるかもしれません。

個人投資家は底値を狙わずに安値を拾うべき

さて、こうした厳しい会社予想が公表された直後、あるいは、翌日の株価は大幅下落する局面が想定されます。個人投資家の方々は、“絶好の買い場だ”と考えて飛びつくべきではありません。

現在は、為替相場も含めて、値動きが非常に激しくなっています。“底値を拾う“というのは狙ってできることではありません。このような局面では、底値を狙わずに安値を狙うということを心掛けていただきたいと思います。

【2016年5月5日 投資1編集部】

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