電機業界、スマホの次は車載かIoTか―長期投資の視点で決算を見る

円高による減益はコンセンサスに

2016年3月期決算は、2016年4月20日に決算を発表した安川電機(6506)を皮切りにスタートしました。同社は、1ドル110円を前提に2017年3月期の大幅減益予想を発表しました(翌日の株価は下落)。

その後も円高を主因に減益予想を発表する企業が相次いだため、「1ドル110円での減益」は電機業界ではコンセンサスになってきたと言えるでしょう。

1ドル110円前提でも増益を発表した日本電産、日本航空電子、富士電機

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こうした中、円高でも増益予想を発表した企業の株価は、発表翌日に大幅上昇しました。たとえば以下の3銘柄です。

日本電産(6594)は4月25日に決算を発表し、翌26日の株価は前日比+4%上昇で引けました。円高下でも増益を予想する背景は、戦略的に強化中の車載および家電・商業・産業用モーターの好調が見込まれるためでした。

日本航空電子(6807)は4月27日に決算を発表し、翌28日の株価は前日比+20%上昇で引けました。増益を見込む背景は、2017年3月期Q2(7-9月期)からスマホ市場向けの回復が見込まれること、中国・新興国向けの拡販成果が具現化してくること、新製品(USBコネクタ)の販売増効果などです。

富士電機(6504)は4月27日に決算を発表し、翌28日の株価は前日比+17%上昇で引けました。海外売上高比率が27%に留まることや、国内のスマートメーター、省エネ機器、国内および中国での自販機の好調が予想されることが増益を見込む背景です。

「決算プレイ」はお勧めできない

上記のような例を見てしまうと、増益予想を発表する銘柄を先回りして買えば儲かりそうだ、あるいは、そうした二匹目、三匹目のドジョウを探そう、という誘惑に駆られがちです。

このような決算発表直後の株価の大幅な上昇や下落にベットした投資スタイルを「決算プレイ」と言いますが、長期的に資産形成を目指す個人投資家にはお勧めできません。理由は、決算後の株価を正確に予測することはほぼ不可能だからです。上記の3社はたまたま上昇したに過ぎません。

確かに連休前は、減益予想を発表する企業が大半のなかで、増益予想を発表した企業が買われました。しかし、4月28日の日銀の金融政策決定会合が「ゼロ回答」であったことを受けて一段と円高が進んでいるため、1ドル110円前提は楽観的という見方が広がる可能性があることには注意が必要です。

仮に円高に歯止めがかからないのであれば、前提レートが実勢レートよりもさらに円高でないと、増益予想でも「楽観的」とみなされ売られてしまうケースも十分にあり得ると考えられます。

減益予想企業の回復可能性を精査することも一案

連休後も決算は続きますが、これまでの決算発表で明らかになったように、足元の電機業界の外部環境は順風満帆ではありません。円高だけではなく、スマホ市場の減速、パソコン・デジカメ・事務機などの市場縮小、中国・資源国での景気減速などの多くの逆風が吹いているためです。

一方、こうしたマイナス要因は、昨年半ばからの株価下落により、かなり織り込み済みであることにも留意すべきです。中期的に自動車関連(自動運転、環境対応車)、IoT関連などを成長機会とすることが可能であるならば、むしろ投資チャンスであるとも考えられます。

パナソニック(6752)のように、2017年3月期を「成長に向けた足場固めの年」と位置付けて、先行投資を主因にあえて減益予想を発表する企業が、今後も現れてくる可能性は十分に考えられます。

このため、「決算プレイ」を繰り返すのではなく、中長期的な見通しの精査がより重要になると考えられます。これから長期的な資産形成を目指す個人投資家のキーワードは、「スマホの次の主役を探そう」でしょう。

【2016年5月5日 投信1編集部】

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投信1編集部

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