とんかつの「かつや」から学ぶ外食の“勝ち方”

昼食は「松屋」と悩んで「かつや」に入った

筆者はランチを外食にしました。今日は少し“がっつり”行きたいと思っていましたので、ごはん系を選択。まずは時々立ち寄る「松屋」の前に来ました。

松屋にかぎらず日本の牛丼チェーンのコストパフォーマンスはいつも素晴らしいと思います。アベノミクスでデフレ脱却と言いますが、円安の影響もあってか、外食や中食の値段はかなり上がったというのが生活実感です。その中で500円というワンコインでおなか一杯になってお釣りがくるのは、今では牛丼チェーンかそば・うどんチェーンしかないのではないでしょうか。お財布に優しく、大変ありがたいと思います。

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とはいえ、今日はちょっと“プチ贅沢”気分です。ご飯とお肉をがっつり、と思って近くの「かつや」を覗きます。お昼時を少し過ぎていたこともあって席も空いています。メニューを見ると、さすがにほとんどがワンコイン以上の値段ですが、今日は財布の紐も緩んでいますので、入ることにしました。

カツを揚げるには時間がかかる

さて、店内に入りメニューを見ると、マクドナルドのセットくらいの値段を出せば、十分におなかを満たせそうだと思い、ヒレカツ丼を注文します。

「かつや」の売りはアツアツのおいしいとんかつです。そして、熟達した料理人のようにサクサクッとしたとんかつを揚げるため、オートフライヤーを導入していることが特徴です。

とはいえ、しっかり揚げるには時間がかかります。さすがに牛丼店のようなスピードは期待できません。まだかまだかと待ちながら、牛丼店よりも客の回転が低い分、値段が張っても仕方ないかな、と納得してみます。

ヒレカツ丼で空腹を満たして周囲を見ると分かること

筆者は久しぶりに来ましたが、食べて「旨い」と唸りました。ころもがサクサクしていて、中はしっかり火が通り、まさにいい塩梅です。プチリッチ気分に浸りながら、食感を楽しみました。

さて空腹が満たされ始めてから周囲を見渡すと、おもしろいことが分かります。

まずは座席。基本カウンターがメインですが、いくつかテーブル席があり、どれも埋まっています。一人だけではなく複数でも気軽に入れるような店づくりです。

カウンター席は一人で昼食をとるサラリーマンの方ばかりです。しかしテーブル席のお客さんは多彩です。職場の男性のグループ、女性のグループ、お年寄り、外国人のグループなどなど。

ここからは筆者の勝手な想像ですが、牛丼店と比べるとカツ丼店は客の回転率が低く、単価を高めにせざるを得ないのかもしれません。しかし、牛丼店と単純に客層を奪い合うだけでは、ワンコインで食事を提供できる牛丼店に対して優位とは言えません。

そこでより高い客単価のファミレス層の来店も上手に誘致する必要があるということでしょう。そのためのテーブル席だと思います。実際に牛丼店と比べて女性比率が高いという印象ですので、うまくいっていると言えるのではないでしょうか。

家庭で揚げものをしなくなっている

もう一つ、高齢の方がかなり来店しているところを見ると、家で揚げものをしなくなってきたという社会背景も浮かび上がってきます。最近コンビニが唐揚げやコロッケなどの揚げ物を積極的に提供しているのと同じことでしょう。「かつや」に代表されるカツ丼店は、こうした社会の変化の追い風を受けているのかもしれません。

「かつや」運営はホームセンターのアークランドサカモトの子会社

さて、ご存知の方も多いかもしれませんが、「かつや」は東証1部上場のアークランドサービス(3085)が展開しています。そしてアークランドサービスの親会社は新潟のホームセンターであるアークランドサカモト(9842)です。

ホームセンターと飲食店は確かに消費者向けのビジネスではありますが、共通点はそれほど多くないのではないでしょうか。それにもかかわらずこれだけ成功している「かつや」を見ると、アークランドサービスの成功の秘訣や今後の展開についていろいろ興味が湧いてきました。

 

椎名  則夫

早稲田大学政治経済学部を卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。証券運用と法人融資に携わる。
シカゴ大学MBA取得。フィデリティ投信に入社、中小型株全般、医薬品・ヘルスケア、保険、通信、インターネットの企業調査に従事。その後モルガンスタンレー証券にて株・クレジットのリスク管理業務を行う。
日本証券アナリスト協会検定会員、CFA。