不正改ざん問題の三菱自と日産の資本提携、最大の恩恵は誰に?

スピード決定の裏にあるゴーン社長の目論見は何か

Frederic Legrand - COMEO / Shutterstock.com

この記事の読みどころ

  • 日産が、不正改ざん問題で窮地に陥っていた三菱自動車の筆頭株主となる見込みで、事実上の経営権を握ることになります。
  • 日産を日系メーカーとすれば、久々の日系メーカー同士の本格的な資本提携です。そのスピード感にも驚かされました。
  • 今回の資本提携では、三菱グループの企業にとって、日産・ルノーの世界的な生産規模へアクセスする機会が生まれたことになります。
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日産が三菱自動車を傘下に収める資本提携が実現へ

大型連休を挟んだこの1か月弱の間、日本の産業界最大のニュースは、三菱自動車(7211)の燃費不正改ざん問題に端を発した日産自動車(7201)との資本提携です。

長年にわたる燃費不正改ざんが明らかになり、株価が急落して今後の事業展開も窮地に陥った三菱自動車に対して、日産が約2,370億円を投じて第三者割当増資を引き受ける結果、発行済み株式の約34%を所有する筆頭株主となる予定です(注:払込は10月頃の予定)。

所有比率34%は(正確には33.4%以上)、株主総会の特別決議に拒否権が行使できる極めて重要な比率であり、事実上の経営権を握ると見ていいでしょう。三菱自動車が日産グループ入りするということです。

日系自動車メーカー同士の本格的な資本提携は約40年ぶり

最近でこそ事例は減りましたが、日本の自動車メーカーが業界再編に絡むのは、決して珍しくありません。

ただ、従前は外資系自動車メーカーによる買収、あるいは、リストラによる株式売却による再編事例がほとんどでした。日産自動車は筆頭株主であるルノー社(フランス)が43%超を所有するため、正確に言えば外資系企業ですが、一応、日本企業としておきましょう。

日系自動車メーカー同士の再編となると、実は、あまり例がありません。最も新しいのは、今から10年以上前の2005年10月に、トヨタ自動車(7203)が富士重工(7270)の筆頭株主になった時です(現在のトヨタの所有比率は16%強)。

ただ、この時は、富士重工の筆頭株主だったGM(米国)がリストラ資金捻出のために売却した富士重工株を、トヨタが買い取ったという形でした。また、それ以前にも、トヨタがダイハツ工業(7262)や日野自動車(7205)を子会社化した事例がありますが、既にトヨタは筆頭株主であり、連結子会社化するための資本提携でした。

今回の日産と三菱自動車の資本提携は、それとは全く異なります。確かに両社は、以前から業務提携は行っていましたが、資本関係は全くありませんでした。その三菱自動車が新株を発行して、新たに本格的な資本提携(注:2~3%の株式持ち合いを除く)に踏み切ったという点では、日系メーカー同士では約40年ぶりと言えましょう。

不祥事公表からわずか3週間で資本提携に発展

これだけでも異例ですが、もっと驚いたのは、そのスピードです。三菱自動車の不正改ざん問題が公表されたのは4月20日で、今回の資本提携の基本合意が正式発表されたのが5月12日ですから、約3週間で決まったことになります。

日産は今回の一連の問題をもう少し早い時期から知っていた模様ですが、それでも、このスピード感は尋常ではありません。それだけ、三菱自動車が窮地に陥っていたということなのでしょうか。

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。