三世代同居率トップの山形県では・・・

三世代同居率がトップの山形県のウェブサイトでは、三世代同居のページが用意されています。

それによると、三世代同居のメリットとしてあげられているのは、「(介護面などでの)安心感」、「祖父母による子どもの見守り」、「暮らしの知恵や知識の伝承」、「子どもにとっての異世代とのコミュニケーションの機会」、「孫から元気がもらえるなどの活力源」、「食費や光熱水道費の節減」といったものでした。

また、山形県内では、1世帯あたりの子どもの平均数は、核家族世帯だと1.54人、三世代同居世帯だと1.70人であり、三世代同居世帯の方が、子どもが多いとされています。

参考:山形県ウェブサイト

三世代同居だと、祖父母による子どもの見守りがあるので、母親も働きに出やすくなりそうです。しかも、食費や光熱水道費が節約できるので、消費または貯蓄にも好影響を与えそうな気がしますが、実際にはどうでしょうか。

三世代同居率が高ければ、育児をする女性が働く機会が増える?

総務省の「平成24年就業構造基本調査」によると、県別の「25~44歳の育児をしている女性の有業率(平成24年)」は、74.8%の島根県を筆頭に、山形県、福井県、鳥取県、富山県と続きます。三世帯同居率が高い地域と重なるケースが多く、山形県も2位になっています。

このデータからは、三世代同居というスタイルは、女性が働きに出るサポートとなっているように見受けられます。

三世代同居率が高ければ、使えるお金は増える?

総務省の「社会・人口統計体系(都道府県・市区町村のすがた)」にある、2人以上の世帯のうち勤労者世帯の可処分所得では、54.0万円の富山県を筆頭に、栃木県、福島県、島根県、石川県と続きます。

7位に福井県(47.8万円)、10位に山形県(46.1万円)があり、上位10位に3県が入っています。なお、東京都は8位の46.9万円となっています。

三世代同居によって、働きに出ている人数が多いわけですから、世帯の可処分所得はそれだけ多くなるということでしょう。逆の言い方をすると、働きに出る人が増えないと可処分所得が増えないということかもしれません。

三世代同居率が高ければ、世帯正味財産は増える?

総務省の「平成26年全国消費実態調査」より、二人以上の世帯における貯蓄現在高と負債現在高の差(正味財産)を計算してみますと、全国平均は977万円となります。

それに対して、1位は1,619万円の香川県で、奈良県、徳島県、福井県、岐阜県と続きます。三世代同居率が高い県では、4位の福井県(1,294万円)が10位に入っているだけです。三世代同居率が高いと言っても、世帯正味財産が多くなることにはつながらなさそうです。

まとめ

何をもって幸せとするかは人によって異なります。働けることを幸せと思う人もいれば、正味財産が積み上がっていくことで安心感を覚える人もいます。

また、置かれている事情も人によって様々です。三世代同居なんてそもそも関係ない、という方もいらっしゃれば、人間関係の事情などが原因で、できるとしてもしたくないと考える方もいらっしゃるかと思います。

一方、三世代同居の税制優遇の要件を考えると、どれだけ使われることになるかは見えてきません。

とは言え、今の政府が促進しようとしていることなので、三世代同居は、世の中の動きを見る1つの切り口として気に留めておきたいキーワードと言えます。

 

藤野 敬太