根強い人気の毎月分配型投信

投資信託の販売状況を見ていると、毎月分配型の投資信託の人気が根強いことがわかります。

たとえば、楽天証券の2016年5月16‐20日の投資信託全銘柄の売れ筋ランキングを見ると次のようになっています。

第1位:日本株ハイインカム(毎月分配型)(ブラジルレアルコース)

第2位:フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)

第3位:楽天USリート・トリプルエンジン(レアル)毎月分配型

第4位:ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)

第5位:DIAM新興市場日本株ファンド

このように、トップ5のうち4つの売れ筋投信が毎月分配型になっています。

毎月分配型投信の基本形

では、典型的な毎月分配型投信として、基準価額が5,000円、毎月100円の分配金が当面続くという架空の例を考えてみましょう。

もしこれが株式だとすると、年間配当が100円×12か月で1,200円ですから、配当利回りは年間配当額1,200円÷株価5,000円=24%となります。「24%の配当利回りは素晴らしいパフォーマンスだ。ぜひ投資しよう」と考えたくなりますね。

株式でいう配当利回りに相当する考え方を、投資信託では「分配金利回り」といいます。現在では多くの投資家に浸透しつつある言葉です。

高配当株についてもう少し考えてみる

さて、企業の業績と配当金の関係を例に考えてみましょう。年間で一株当たり1,200円以上の利益が出て、それを元に合計1,200円の配当を支払っているなら問題ありません。

しかし、十分な利益が出ていないのにもかかわらず利益以上の配当を出している場合、少し問題です。特にこうした状況が続くようなら企業経営として健全ではありません。それまで蓄積した内部留保を払い出していくにつれて、自己資本が減少していきます。自己資本が減少すると企業の将来の成長基盤が削がれていくかもしれません。

毎月分配型投信の分配金は運用成果に裏付けられているか

株式の例は毎月分配型投信にも当てはまります。運用会社は少しでも運用成績を上げようと利回りの高い資産に投資したり、高金利通貨に投資したり、オプション料を受け取るなどのさまざまな手法を工夫して組み合わせています。

分配金が運用成果に基づくものならば問題ありませんが、運用はいつもうまくいくとは限りません。分配金の金額を維持するために過去の利益の蓄積を取り崩したり、あるいは元本部分を取り崩すケースもありえます。そしてこれが長期間にわたって続くようなら、そもそもの分配金の設定が高すぎるということになります。

分配金込みの基準価額は1年前と比べて高いか低いか

運用実績に見合った分配金が支払われているか知るための手がかりとして、ぜひ見ていただきたいのが基準価額のチャートです。

しかし基準価額は分配金が差し引かれていますので、その分配金を全て足し戻してください。このような「分配金込みの基準価額」のチャートが証券会社のウェブサイトや運用会社のサイトに出ていますのでぜひチェックしましょう。

これが長期にわたり下落傾向にある場合、分配金に対して運用実績が伴っていないことを示しています。もちろん、過去の実績が将来を完全に物語るとは限りませんが、十分に参考にすべきポイントと思います。

 

LIMO編集部