日立はなぜ人工知能に注力するのか―経営判断支援AIを開発

AIの3タイプに基づく日立のデジタル戦略を探る

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日本語で”対話”が可能なAI技術を発表

日立製作所(6501)は、2016年6月2日に企業の経営判断支援を目指した新たなAIシステムの基礎技術を開発したと発表しました。

賛否が分かれる議題に対し、大量の日本語記事を分析して偏りのない意見を抽出することを可能とする技術であり、実用化されれば、企業経営者は社会情勢が急速に変化し顧客ニーズも多様化する中でも、迅速な経営判断を行うことが可能になると期待されます。

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そもそもAIとは

最近、AIという言葉に接する機会が増えていますが、ここで改めて簡単におさらいしたいと思います。

AIとは、Artificial Intelligenceの略で、人間の知能を人工的に実現させようとするソフトやコンピュータシステムのことです。単純に計算を行うだけではなく、人間と同様に経験から学んだり、専門的なプログラミング言語ではなく人間が使う自然言語を理解したり、論理的な推論を行うことを可能とする技術です。

このように、AIは、ひとことで言えば「人間の脳の代わり」ということになりますが、実際には様々なAIがあります。

センサーから様々なデータを集めて故障診断などを行う「運転判断型AI」、文章テキスト等のWeb検索、評判分析を行う「質問応答型」、画像・音声などのデータをもとに顔認識や音声認識などを行う「パターン認識型AI」など、大きくわけて3つのタイプがあります。

今回の発表は質問応答型の一例となりますが、日立は残りの2タイプにも積極的に取り組んでいます。

日立にとってのAIの位置付け

日立は、今回取り上げたAI技術に加え、セキュリティ、ビッグデータ処理、リアルタイム制御などの様々なデジタル技術を活用したデジタルソリューションを顧客に提供することで成長を目指しています。

サーバー、ストレージなどのハードウエアのコモディティ化が急速に進行していますので、ハードやソフトのばら売りではなく。“ソリューション”を付加価値として売ることが急務となっているためです。

既に昨年7月には、今回発表された論理的な対話が可能となるAIの英語対応版は発表済ですが、今回、新たに日本語対応版が加わることで、日本及びグローバルで経営を行う企業への対応が可能になります。

実用化は2~3年先とのことですが、開発途上品であっても、これを日立のデジタルソリューションの採用を検討している経営トップに対してデモンストレーションすることで、”ドアオープナー”(販売ツール)としての役割は十分に期待できるのではないかと推察されます。今後も日立のAIへの取り組みを注視していきたいと思います。

 

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。