細かい経緯や内容は省略しますが、老後2,000万円不足が問題となった時、“将来に向けて今から資産形成に励まないと大変なことになる”という強い危機感が醸成されたと考えられます。実際、全国各地で開催された資産形成セミナーや投資塾の類に出席する人は一気に激増したようです。

ここで誤解のないように言うと、筆者も各個人が資産形成に関心を持つことは大賛成ですし、絶対に必要だと思います。

ただ、一切の前提条件を吟味することなく“2,000万円不足”が独り歩きした結果、多くの若年層がある種の恐怖感を覚えたことは確かでしょう。そうした根拠のない危機感を感じて早急に資産形成に取り組み始めた直後、昨年秋から年末にかけて株式相場が大幅上昇となりました。

ザックリ言うと、8月末の20,500円が12月中旬に24,000円へと上昇し、始めたばかりの資産形成が順調だった人も多かったと推察されます。

しかしながら、どのような金融商品を購入したかにもよりますが、2,000万円不足問題がきっかけで資産形成を始めた人の中には、この半年間に投資した大切な資金が、今回の株価暴落により一気に半分以下に激減した人も少なくないはずです。

手持ちの余裕資金で始めた人は別として、いわゆる“働き方改革”で残業代が減り、結果的に収入減少を強いられている若年層は大きな精神的ショックを受けていると推察せざるを得ません。

定額の積立投資は今回の株価暴落と関係なく継続すべき

資産形成を始めるに際して、金融資産の価格変動リスクは承知していたと思われますが、暴落まで想定していた人がどれだけいたか疑問です。しかし、実際に暴落は起きてしまいました。資産形成を始めた人は今後どうすればいいのでしょうか?

まず、月々一定額(たとえば1万円とか3万円とか)で何らかの積立投資を行っている人は、今回の急落で動じる必要は一切ありません。基本的には、そのまま継続するべきと考えます。