レビュー:英国発のリスクオフ相場が続き円急騰の1週間。日本株(TPOIX)が世界主要市場のワーストパフォーマーに

先週(6月13-17日)の主要国の株式市場は、英国のEU離脱問題によるリスクオフ相場が続き、グローバルに株式市場はほぼ全面安でした。

16日にEU離脱反対派の英国下院議員が殺害されるというショッキングな事件があり、週末にかけてリスクオフのポジション調整も出ました。しかし、週を通してみると金(ゴールド)が買われ、主要国の長期国債が買われ、株が売られるという典型的なリスクオフになりました。

その他の注目のイベントは日米の金融政策でしたが、ともに現状維持になりました。これは市場の想定通りだったと考えますが、日銀の打ち手が減ってきたという印象を残し、リスクオフ相場のなかで円を買う恰好の理由づけになったようです。

この結果、円は独歩高の展開になり、TOPIXを前週末比▲6%下落させました。年初来の現地通貨ベースのパフォーマンスにおいて、TOPIXが上海総合指数を抜いて主要国でワーストになりました(▲19%)。このほか、先週は香港、韓国、豪州株の下げが目立ちました。英独仏の各国株式市場も下げています。

先週の主要市場の動き

注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示

年初来の主要市場の動き

注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示

 

アウトルック:木曜に英国の国民投票。リスクオフ相場を終えることができるか注目の1週間に

今週(6月20-24日)は、なんといっても英国のEU離脱の是非を問う国民投票の週です(現地23日)。その他各種経済指標の発表やイエレンFRB議長の議会証言なども予定されていますが相対的な注目度は限られるでしょう。

さて英国の投票結果がEU残留を支持する場合、リスクオフ相場の巻き戻しが進みそうです。離脱を支持する結果になった場合でも、相場の調整はある程度進んでいるため、ショックがあるとしても限定的になりそうです。むしろ英国ではなく、残りのEU加盟国間の結束が緩む事態を警戒しなければならないでしょう。

では日本円が円安方向にどの程度まで修正するかと問われると、日銀の最近の姿勢を見る限り難しそうな気がします。日本の株価は年初来現地通貨ベースで最もリターンが悪くなりましたが、この為替と参議院選挙という固有のリスクによってナイーブな展開が続きそうです。

また、日本では株主総会のピークシーズンになります。とりわけ資産の売却を進めてきた22日のソフトバンクグループ(9984)の内容が注目されます。

LIMO編集部