劇的な分散化が実現した株主総会のメリットとは

21年前はなんと1,400社近くの株主総会が同日に集中

この記事の読みどころ

  • 今年の5月13日は最近にない決算発表の集中日として話題になりましたが、裏を返すと、近年はそれだけ分散が進んでいたことになります。
  • 決算発表以上に、劇的な分散開催が進んできたのが株主総会です。21年前の集中開催比率は96%超でした。
  • 複数の株主総会に出席できるメリットを活かして、投資判断の材料としても活用しましょう。
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大きな話題になった5月13日の決算発表集中日

今年4~5月の決算発表シーズンで、ある特異な現象が起きました。それは5月13日に決算発表が集中したことです。当日は上場企業の約30%に該当する約900社が決算発表を行いましたが、昨年同時期のピークが半分以下の約430社だったことからも、その集中ぶりが分かります。

ここまで集中したのは、決算発表を〆日(期末日)から45日以内に行うように東証から要請されていること、昨今の不正経理問題を受けて監査法人が準備に多くの時間をかけるようになったこと等々、理由はさまざまなようです。

ただ、トヨタ自動車(7203)や日立製作所(6501)など多くの大手企業は、もっと早い日に決算発表を行っていました。つまり、その集中日に決算発表を行ったのは、中堅以下の企業が圧倒的に多かったため、株式市場で特に大きな混乱は生じなかったようです。

それでも、この決算発表の集中ぶりは話題になりました。逆に言うと、それまで分散が進んでいたということになります。実際、20年以上前ならば、特に珍しくなかったと筆者は記憶しています。来年からはどうなるのか、少なからず気になることではあります。

これでも劇的な分散開催が進む株主総会

一方、同じように着実に分散が進んでいるのが株主総会です。今年の3月期決算会社の定時株主総会(予定)を見ると、6月29日(水)に約32%の760社が開催し、次に多いのが6月28日(火)で約20%の470社となっています。

“何を言っているんだ、決算発表の集中比率(約30%)より多いじゃないか!”、“どこが分散なんだ?”と思う方がいるかもしれません。いや、これでも着実にどころか、劇的に分散開催が進んでいるのです。

21年前の株主総会の集中比率は何と96%超

今から21年前の1995年6月の定時株主総会(3月期決算)の集中比率は何と96.2%でした。当時の上場企業数は約1,800社弱(注:大証など地方単独上場を除く)です。

このうち約75%が3月期決算だったとしても(注:筆者の推定。なお、現在は約65%であり、3月期決算比率は減少傾向にある)、単純計算で約1,300社が同じ日に株主総会を開催していたのです。地方単独上場企業を含めると、1,400社以上(!)とも試算できます。

かつては株主との対話は有名無実だった

今振り返ると、とても信じられないことですが、当時はそれが常識だったのです。当然、投資家が複数の株主総会に出席することは事実上、不可能でした。

その異常な集中開催の最大の理由は、いわゆる“総会屋対策”に尽きます。“総会屋”と呼ばれた人たちの詳細は省略しますが、当時の企業にとって、株主総会における“総会屋対策”は最大の懸案事項であり、株主との対話や建設的な議論などは二の次という状況でした。

その後、商法(現在の会社法)によって総会屋の活動が厳しく規制されたことなどから、株主総会の分散開催が徐々に可能になり、今日に至っています。

個人投資家も株主総会を最大限活用しよう

株主総会は、株主が企業経営者と議論・対話できる唯一無二の機会です。そして、重要な投資判断を得られる場所でもあります。個人投資家の方々も、この20年あまりで劇的に改善した株主総会への出席可能性を最大限に活用することが求められます。今年が無理ならば、来年はぜひ活用しましょう。何しろ、20年以上前は不可能だったわけですから。

 

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。