「築地銀だこ」のホットランドがクールジャパン機構と挑む中東の熱い戦い

和風ファーストフードの世界展開へ”ホット×クール”のタッグは奏功するか?

「築地銀だこ」がドバイへ

6月20日、官民ファンドであるクールジャパン機構のプラットフォームを使って、中東の湾岸諸国などへ「築地銀だこ」、「銀のあん(クロワッサンたい焼)」などの和系ファーストフードが進出することになったと発表がありました。

これは、最近話題のイスラム圏への日本企業の進出の1つです。中華圏や東南アジア、インドよりさらに先の中東への進出案件であり、北アフリカへの橋頭保にもなるという点で大いに注目すべき案件です。

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築地銀だこを運営するのは東証1部のホットランド

街でもよく目にする築地銀だこですが、これを展開するのは株式会社ホットランド(3196)です。2015年12月末現在、国内はこの築地銀だこを中心に606店舗、海外では63店舗を展開しており、連結売上高309億円、営業利益15億円を上げています。創業は1991年ですが、2014年9月に東証マザーズに上場、2015年9月には東証1部へ上場と、順調に移行してきました。

もともと強かった海外展開志向

同社の資料によれば、創業当時から和風のファーストフードチェーンを世界で展開したいという希望を持っていたようです。築地銀だこの1号店は1997年にオープンしていますので、それからさまざまな積み重ねで事業を拡張してきたということが伺われます。

さて、先ほど触れたように、すでに同社は海外に事業を展開しています。直営もありますが、フランチャイズ方式での展開を進め、日本から標準化した業務プロセスを提供し、ローカルパートナーに適地化したオペレーションを行ってもらうという狙いがあるようです。

すでに展開を開始した国は香港、台湾、韓国、タイ、中国、カンボジアと、東アジアおよび東南アジア諸国が中心です。さらに北米での展開を見据えて、現地に合弁会社を設立しています。

こだわりをみせる主原料タコの安定調達

このように、国内で500店を超える規模を達成し海外に打って出ようとする同社のこだわりは、タコの安定調達の取り組みに感じられます。従来商社経由で調達していたことに加えて、アフリカのモーリタニアに合弁会社を設立し直接調達をはじめます。

さらに国内では、産官連携で「真だこ完全養殖プロジェクト」も本格的にスタートしています。ここにも事業リスクの低減と世界規模での成長を目指す同社の心意気が感じられます。

中東進出でホットランドが手を組んだのはクールジャパン機構

世界展開に不可欠な店舗オペレーションの標準化という点でも抜かりない手を打っている同社ですので、中東進出も単独でできたのかもしれません。

しかし、海外展開になみなみならぬ”ホットな”情熱を見せる同社が選んだのは、クールジャパン機構のプラットフォームの活用でした。詳しく説明すると、アラブ首長国連邦のシファーインベストメント社とクールジャパン機構が共同出資するシファーニッポン社に対して、同社がマスターフランチャイズ契約を締結するというものです。

これは現地の商習慣やビジネス慣行に明るいビジネスパートナーとマスターフランチャイズ契約を結ぶことで、円滑な事業拡大の見返りに一定の収益を分配するというやり方です。シファー側は同社に限らず他の日系企業にも参加してほしいと考えていると思われ、だからこそクールジャパン機構といったん合弁を作ることにしたのでしょう。

同社から見れば、現地パートナーを直接管理するよりひと手間かかるかもしれませんが、それよりも時間と商習慣の壁を超えることを優先したのではないかと推測されます。

クールジャパン機構の投資案件は現在17件開示されています。このうち、中東関連の案件は今年から始まり、本件も含めて合計2件になります。当初はコンテンツなどの、いわゆる”クールジャパン”を世界に浸透する案件が目に付きましたが、その後徐々に物販(輸出)案件が増えています。クールジャパン機構の役割も少しずつ変貌しているようです。

灼熱の中東で”ホット×クール”のタッグが熱い外食の戦いを挑んでいきます。その展開から目が離せそうにありません。

 

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。