小売優良株に広がるリスクオフ。ファーストリテイリング、ABCマートも急落

エービーシー・マート株とファーストリテイリング株が急落

2016年7月4日の良品計画(7453)株の急落に続き、7月5日にはエービーシー・マート(2670)が対前日比▲6.6%下落、ファーストリテイリング(9983)が同▲4.2%下落しました。ちなみに、良品計画は同▲3.3%続落しています。また、スタートトゥデイ(3092)が同▲2.5%、セリア(2782)が同▲3.2%それぞれ下落しました。

同日のTOPIXの下落率は▲0.4%ですので、一日の下げとしては大きな下げとみなせます。

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参考:好決算の良品計画の株価が急落。その背景を探る

きっかけは6月の売上高発表

この株価の急落のきっかけになったのは7月4日発表された6月の国内の売上データと言われています。エービーシー・マートでは既存店売上高が前年同月比▲0.5%減、ファーストリテイリングでは同+4.5%増になっています。

しかし、この数字だけを見ると株価の急落をうまく説明しきれていない気がします。参考までに同じく発表されたユナイテッドアローズ(7606)の数値は同+2.8%増でしたが、株価は同+4%上昇しています。ファーストリテイリングの株価はむしろ上昇していないといけない気もします。

客数減を嫌気?

エービーシー・マート、ファーストリテイリングの2社に共通するのは、客数の減少です。前者は13カ月連続、後者は5カ月連続で既存店の客数が減少していますのでこれを客離れととらえるむきもあるようです。しかし、仮に客数がマイナスでも、客当たりの買いあげ単価がそれを補うのであれば決して悪い話とは言い切れません。ユナイテッドアローズでも既存店客数はマイナストレンドにあります。

ただし、ひとつだけ指摘できる点があります。それは「前年6月の既存店売上がマイナスだった割には、今年の6月は強くない」ということでしょう。エービーシー・マート、ファーストリテイリングの2015年6月の既存店売上は(今年の6月とは対象店舗が完全に一致するわけではありませんが)それぞれ同▲1%減、▲11.7%減でした。これをみると今年の6月の数字が弱めに感じられるでしょう。

良品計画、エービーシー・マート、ファーストリテイリングはアジアで成功している日本の小売業の代表

筆者が気にしているのは、むしろ、日本の小売業の中でアジアを軸にグローバル化の先陣を進むこれら3社の株価が急落していることです。

良品計画とファーストリテイリングは中国で、エービーシー・マートは韓国でしっかりと収益基盤を築いてきました。良品計画の中国での売上トレンドが減速していることは前回(好決算の良品計画の株価が急落。その背景を探る)指摘しましたが、これがマクロ的なのか純個社要因なのかはなんともいえません。

しかし、アジアビジネスに対して、そして海外収益が円高で目減りすることに対して、株式市場が警戒しているとは言えそうです。「円高メリットが今後とれるはずの日本でせめてもっとしっかりしてほしい」という市場の声が聞こえてきそうです。

リスクオフが静かに浸透しているのか

さて、今回急落したと会社名をあげた銘柄にはもうひとつ共通点があります。

それは下げた銘柄ほど株価純資産倍率(PBR)が高いということです。良品計画、エービーシー・マート、ファーストリテイリングはそれぞれ約4.3倍、2.7倍、4倍という水準にあります。一般にこの比率が高いほど、資本効率がよく成長期待が高いといえます。

逆に言えば、わずかな成長見通しの変化で株価が影響を受けやすいともいえます。7月5日にPBRの高い銘柄に急落銘柄が見られたことは、市場がそれだけ成長見通しについて神経質になりリスクを減らしたいと考えていると解釈することができそうです。

日本の株式全体は冒頭にお話したように落ち着いた動きですが、こうして下げが目立つ銘柄にはリスクオフマインドが透けて見えます。

今しばらくシートベルトをしっかりしめて株式市場と付き合う必要があるのではないでしょうか。

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。