株式市場の振り返り-活況な売買を伴う大幅続伸、日経平均株価は16,000円台を回復

2016年7月12日(火)の東京株式市場は大幅続伸となりました。日経平均株価は前日比+2.5%の上昇、TOPIXも+2.4%の上昇で引けています。一方、新興株式市場の東証マザーズ総合指数は+0.9%の上昇に止まりました。東証1部を中心とした大型株への資金流入が続いています。

日経平均株価は、円高進行の一服や政府の景気対策への期待感などから、前日比+252円高で寄り付いた後は、上げ幅を拡大し続け、前場の半ばに一時+528円高まで上昇しました。その後、高値圏を続けながらも、やや売りが優勢となり、大引けは+386円高の16,095円で終わっています。なお、終値で16,000円台回復は、あの英EU離脱ショックの前日に当たる6月23日以来です。

東証1部で上昇したのは1,616銘柄、値下がり282銘柄、変わらず68銘柄でした。東証1部の出来高は26億543万株、売買代金は2兆7,742億円(概算)となっています。最近にない活況な売買状況となり、売買代金3兆円回復も見えてきました。

セクター動向と主要銘柄の動き-金融関連セクターが上昇率上位に勢揃い

東証1部で上昇したのは32業種、下落したのは食料品の1業種のみでした。全体的に買われた中で、上昇率の上位業種には、銀行を始めとする金融関連セクターが勢揃いとなりました。また、輸送機器や電気機器などの主力セクターも大きく上昇していますが、内需関連の多くは小幅上昇に止まりました。

個別銘柄では、任天堂(7974)が3日連続で急騰し、大きく値を飛ばしました。主力株では、ファーストリティリング(9983)、ファナック(6954)、ソフトバンクグループ(9984)などが軒並み値を上げ、村田製作所(6981)、ソニー(6758)も上昇しました。一方、前日に決算発表を行ったローソン(2651)が大幅下落となり、ファミリーマート(8028)やピジョン(7956)などの内需関連株、いすゞ自動車(7202)などが下落しました。

東証マザーズ市場の動き-総合指数は続伸も、1,000ポイントの大台維持ならず

東証マザーズ総合指数も続伸となりましたが、小幅上昇に止まっており、取引時間中に回復した1,000ポイントの大台を終値では維持できませんでした。出来高は前日よりは若干増えて6,025万株となりましたが、逆に売買代金は減少して1,019億円の低水準です。新興市場として見ても、かなり厳しい薄商いと言えましょう。なお、値上がりが152銘柄、値下がりは74銘柄、変わらず5銘柄でした。閑散相場を打破するような材料が欲しいところです。

個別銘柄では、そーせいグループ(4565)が小幅下落となった他、医療バイオ関連銘柄では小安い銘柄が目立ちました。一方、情報通信やサービス関連では大幅上昇となる銘柄も見られ、ブランジスタ(6176)が大きく値を飛ばし、アウンコンサルティング(2459)はストップ高となっています。しかし、全体的には前日に続き、極端に上昇したり下落したりすることなく、比較的静かな動きをした銘柄が多く、新興市場らしからぬ騰落状況となりました。

本日(7月13日)の注目点-売買の活況が回復して上昇トレンド継続へ、新興市場は様子見が得策

12日の株式相場は久々にポジティブな印象が強い結果となりました。株価指数の大幅続伸も然ることながら、売買の活況感が回復してきたことが一番大きな要因です。相場にエネルギーが蓄えられることで、目先の利益確定売りによる株価下落の懸念は小さくなったと言えましょう。為替相場のセンチメントも反転しつつあることから、13日(水)の株式相場も好調な推移が期待できます。

参議院選挙前は何処かへ消え去ったような印象があった政府の景気対策が、一気に本格化し始めました。13日を含めた当面は、景気対策の恩恵が大きいセクター、具体的には、公共投資絡みの建設セクター、不動産セクターにも注目です。また、輸出関連銘柄は、利益確定売りが出て一旦下がった時点が投資好機になると思われますが、こうしたチャンスはそう多くないかもしれません。

一方で、少し心配なのが新興市場です。現在は、東証1部などの大型株市場と比べて、明らかにエネルギーが欠如しています。当面は大きなテーマが出て来ない可能性がありますが、政府の景気対策に絡んだ個別株の下値を慎重に拾うのが得策と考えます。少なくとも、今は無理をするタイミングではありません。

青山 諭志