2016年8月にはいよいよリオデジャネイロで夏季オリンピックが開催されます。そのリオ五輪では、各国の選手の活躍はもちろんのこと、選手を支えるスポーツメーカーのシェア争いも熾烈さを極めます。今回は、日本だけではなく、世界のスポーツメーカーの魅力を解説していきます。

スポーツが成長産業であるのは間違いない

スポーツは成長産業かもしれないと、ぼんやりと感じる方も多いのではないでしょうか。日本でもマラソン熱は衰えを知りませんし、世界に目を向けても、経済成長が進んで生活水準が向上すれば、娯楽として、また、健康を維持するためのスポーツへの投資や消費が進むことをイメージできるのではないでしょうか。

まず、世界を代表するスポーツメーカーの業績を見てみます。世界の主要スポーツメーカーの売上高を積み上げて、市場の推移を見てみましょう。ここではドイツのアイディダス、プーマ、米国のナイキ、アンダーアーマー、日本のアシックス(7936)の5社をサンプルとしています。

すると、2001年度の5社の売上高合計は2兆円を超える程度でしたが、2015年度には7兆円市場にまで成長しています。

特に、米国のナイキの2015年度売上高は4兆円弱もあります。一方、日本のアシックスも2001年度と2015年度の売上高を比較すると3倍以上になっており、高い成長率を示しています。しかし、現在のナイキの売上高がアシックスの約9倍というのには驚かされます。

スポーツメーカーには10倍株もごろごろしている

次は株価です。米国のナイキ、アンダーアーマー、VCコーポレーションとS&P500の株価指数の推移について見てみましょう。

2000年1月末の株価を100とした、2016年7月8日までの推移では、ナイキやVCコーポレーションの株価は10倍近くまで上昇しています。アンダーアーマーは上場タイミングが異なるため、2005年11月末を100としてその後の株価推移を見ていくと、14倍近く上昇しています。

このように、スポーツをしている人であれば誰もが知っている企業が、長期とはいえ株価が10倍に以上になっているというのは驚きです。ちなみに、VFコーポレーションは、THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)、Timberland(ティンバーランド)、VANS(バンズ)などのパワフルなブランドを抱えた企業です。

日本のスポーツメーカーはどうか

さて、日本のスポーツメーカーについても見ていきましょう。米国のスポーツメーカーの株価上昇率を見て驚きましたが、日本のスポーツメーカーもなかなかものです。

1999年12月末の株価を100とし、2016年7月8日までの推移を見てみました。すると、アシックスは株価が10倍以上になり、デサント(8114)やミズノ(8022)もそれぞれ4倍や1.5倍になっています。スポーツ産業は国内外を問わず成長産業であり、上手に事業展開できれば大きな果実を手に入れる機会があるようです。

日本のスポーツメーカーを解説

ここでは、日本を代表するスポーツメーカーを簡単におさらいしましょう。

アシックスは世界的シューズメーカー

アシックスは、日本を代表する世界的スポーツメーカーといっても過言ではありませんが、その中心はスポーツシューズです。海外では、オニツカタイガーやアシックスタイガーのブランドでも知られています。スポーツ工学に強みを持つ同社ですが、近年のテクノロジー領域とスポーツの融合の動きにも敏感です。フィットネストラッキングアプリのFitnessKeeper, Inc.(フィットネスキーパー)を買収し、デジタル領域も取り込みつつあります。

デサントの海外比率は既に60%

デサントの海外売上比率は2016年3月期で既に60%で、特に韓国の売上高が高くなっています。自社ブランドのデサントの他にも、テリトリーを限定した自社ブランドであるルコックスポルティフ、アリーナ、アンブロを扱っています。商品の中心はアスレチックス向けですが、それに次いでゴルフ、アウトドア向けが続きます。

ミズノは潜在力を秘めている

ミズノは、ブランドの知名度の割に時価総額がアシックスやデサントと比較して小さいというのが意外です。一方、海外売上比率が36%ということで、まだまだ海外展開の余地が残っているとも言えます。商品別に見ると、フットウェアが最も大きく、次いでウェア、エクイプメントの順となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。スポーツ産業はグローバルで見ても成長産業と言えますね。中でも米国には魅力的な企業が存在し、日本企業も世界でしっかり成長しており、今後の海外での成長余地もありそうです。今後もスポーツメーカーの戦いを注目したいと思います。

 

青山 諭志