キュレーターから読者に伝えたいポイント

いよいよ夏も本番です。株式市場も6月末に2番底を付けた後、ようやく落ち着きを取戻しつつあります。そこで、今回は以下の記事から相場の潮目の変化について考えてみたいと思います。

英EU離脱ショックは”不況期の株高”をもたらすか

とりあえず嵐は過ぎ去りましたが、イタリア、スペイン、フランス等でEU懐疑派が台頭してきており、依然として欧州の政治情勢の不透明感は払拭されていません。

とはいえ、悪いことばかりではありません。最も注目できるポジティブな変化は、今回のショックをきっかけに世界の主要中央銀行の協調姿勢が強まったことです。

すでに日銀、イングランド銀行(BOE)、欧州中央銀行(ECB)による金融緩和継続はコンセンサスになっていますが、この記事の筆者によると2018年まで米国の追加利上げが実施されないとの見通しすら出てきているとのことです。

こうした変化により、世界的な過剰流動性相場が当面は継続する可能性が高まったと捉えることができると思います。つまり、“不況期の株高”の再来です。

長期的に資産形成を目指す個人投資家は、こうした潮目の変化を見逃さないようにしたいものです。

7月の見通し 市場混乱の最中にも明るい兆し
出所:ピクテ投信投資顧問

サマーラリー、2016年はどうなる?

英EU離脱ショック直後は、サマーラリー(夏場に株価が上昇しやすい現象)を考える余裕すらありませんでした。しかし、相場もようやく落ち着きを取り戻しつつありますので、その可能性についても考えてみたいと思います。

ちなみに、昨年の夏はチャイナショックの影響で日米とも株式相場は下落し、サマーラリーというアノマリー(経験則)は実現しませんでした。ただし、この記事の筆者によると、2006年以降の過去10年間、米国株式では7勝3敗と概ねアノマリー通りの結果が見られたとのことです。

一方、日本は、残念ながら4勝6敗であったとのことです。日本では、お盆などで相場が閑散として株価が下落する“夏枯れ相場”になりやすい傾向にあるためです。

とはいえ、米国市場が堅調に推移すれば、これまで日本株を売っていた外国人投資家がリスクを取りやすくなるため、日本市場に好影響を与える可能性も否定できません。今年は夏枯れ相場ではなく、サマーラリーに期待したいと思います。

サマーラリー、2016年はどうなる?
出所:ピクテ投信投資顧問

2番底を確認した後の注目点

欧米の株式市場に比べて戻りが遅れていた日経平均株価も、ようやく7月13日には急落前の6月23日とほぼ同レベルまで回復しました。

振り返ってみると、今年、日経平均は1万5,000円割れの急落局面が2回ありました。1回目は2月12日で、その時は原油価格の大幅下落がきっかけでした。そして、2回目は今回の英国EU離脱ショックです。

今年は2番底で終わるのか、あるいは3番底もあるのか、その答えを見つけ出すことは容易ではありませんが、目先は改めて日米の金融政策に注目したいと思います。

具体的には、7月26-27日の米金融政策決定会合(FOMC)、7月28-29日の日銀金融政策決定会合です。この記事によると、現時点でのコンセンサスは「米利上げは困難」、「日銀は何らかの動きを取る可能性があるが、マーケットに影響ある大規模追加緩和は無理」とのことです。果たして結果はどうなるでしょうか。

悲観一色の相場に変化の兆し
出所:楽天証券

 

LIMO編集部