世界的な株高の背景は何か? 今こそ考えたいインフレへの備え

新興国にも変化。今後の資産運用を考えるための記事3選

キュレーターから読者に伝えたいポイント

世界的な株高の背景は、一言で表せば「低金利環境が維持される中で景気見通しの改善が続いていること」に尽きます。米国の企業業績は7-9月期から増益転換も見込まれていることや、新興国市場にも明るさが見えてきた点にも注目したいと思います。

このような、日本の株式市場にとっても追い風になりそうな変化を見落とさないために、以下の記事を参考にしていただければ幸いです。

日経平均の上昇要因を考える

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まず、7月に入ってからの株高の背景を考えてみたいと思います。理由として挙げられるのは以下の3点です。

第1は、7月8日発表の米国雇用統計(6月分)を受けた米景況感の改善期待と、それによる米国の株高です。第2は、リスクオフからリスクオン相場への世界的な転換による円安進展です。そして第3は、7月10日に行われた参議院選挙での与党勝利をきっかけとした大幅な財政支出増への期待です。

ここで注意したいのは、上述のポジティブ要因のうち2つが海外要因であること、米国の株高が米国企業の業績回復を背景としていること、さらに、世界的な過剰流動性(金余り)が株高の大きな要因であることです。

つまり、ポケモノミクスや日本の政策期待などは、どちらかというとマイナーな要因であるということです。

ちなみに、米国の企業業績は、現在発表が続いているQ2(4-6月期)がEPS(一株当たり利益)のボトムとなり、Q3(7-9月期)から増益転換が見込まれています。これに金融緩和が加われば、“株が上がらないわけがない”、ということが、以下に示した記事を読むと理解することができます。

なお、この記事では、日米欧のマネタリーベース総額*1が6月末時点で前年比約2割増の10兆ドル(約1,000兆円)に迫っており、株高の一因は、このうち設備投資に回らない、いわゆる過剰流動性*2が米国株を中心に世界のリスク資産に染み出してきたことが背景にある可能性も指摘されています。

*1中央銀行が市中に供給する総資金量
*2リスク資産への待機資金

さらに興味深い指摘は、6月の日本のマネタリーベース残高(約3兆9,140億ドル)が、米国の残高(約3兆8,250億ドル)を上回ったというデータです。

日本銀行は、これだけの大規模な金融緩和を継続して大丈夫なのかという一抹の不安は否定できせん。しかし、「一般的に、総供給量が多い通貨が少ない通貨と比較して貨幣価値を減じやすいとされる」と、この記事にもあるように、これは円安要因であるため、当面は株高要因としての役割が期待できそうです。

言い方を変えれば、日本株の株高を望むためには、さらなる金融緩和を受け入れる覚悟が必要ということになります。

出所:米国株高によるリスクオンと円安期待(楽天証券)

金融緩和の結果としてのインフレの備えが大切

さて、その金融緩和の目的は、改めて申し上げるまでもなく、日本経済をデフレから脱却させインフレへと転換させることにあります。

日銀が狙う”安定的な2%の物価上昇”の実現可能性の議論はここでは行いませんが、長期的に資産形成を目指す個人投資家は、この政策が実現した場合の資産防衛策を考えておく必要があります。

ここで重要なのは、実質金利という概念です。名目金利から物価上昇率を引いたものが実質金利ですが、低金利が続く中でインフレが進むと、実質金利がマイナスになる可能性は極めて高いと考えられます。

この記事にあるように、仮にそうした状態で国債などの低金利資産を用いて大切なご自身の資産を運用していると、資産価値の目減りは避けられないことになります。

もちろん、必ずインフレになると決まったわけではないので、今すぐに全ての資産を株や外貨建て資産など対インフレ防衛力のあるものへシフトする必要は全くありませんが、インフレに備えた資産運用という視点はお忘れなく。

出所:インフレに備えた資産運用(みずほ投信投資顧問)

新興国の変化にも注目したい

2016年7月19日に国際通貨基金(IMF)は世界経済見通しを更新しました。英EU離脱決定後、初めての予想発表であったため、その内容が注目されていましたが、結果は3か月前の4月時点の予想から極めて小幅な下方修正に留まっていました(世界成長率予想:2016年 +3.2%→+3.1%、2017年+3.5%→+3.4%)。 

今から振り返れば、英国の国民投票後における金融市場の動きは過剰反応であったことが改めて確認できるわけですが、ここで注目すべきことは、原油価格の回復や英国との関係が弱いことから、ブラジル、ロシア、中国などの新興国市場の見通しは、据え置き、あるいは上方修正されていたことです。

もちろん、今後も原油価格の動向には注視が必要ではあるものの、世界景気に明るさが見えてきたことは要注目でしょう。

6月の英EU離脱ショック時は、日本株でもグローバルに事業を展開している輸出・大型株が大きく売り込まれましたが、こうしたトレンドの変化を踏まえて、売られ過ぎの大型優良銘柄群にも注目したいと思います。

出所:英国のEU離脱の影響をIMFはどう見たか?(ピクテ投信投資顧問)

 

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。