金融 × AIに取組むスタートアップのAlpacaです。

突然ですが、金融業界というと規制が多く、参入が難しいイメージがありますよね。しかしここ数年、Fintechのスタートアップを中心に、日本国内外の大手金融機関や事業会社の関連会社としてではなく、新たに証券業を営む会社が生まれてきています。

今回はそもそもどうやったら証券会社を作ることができるのか、日米の比較を中心に、そこから見えてくるFintechのトレンドに迫りたいと思います。

証券会社はどうやって作る? 日米のFintechスタートアップ比較

「証券会社を作る」と言うと、ものすごくハードルが高く、大手企業でなければ参入が難しいのでは、というイメージがあるのではないでしょうか。しかしここ数年、”証券会社”として業務を行うFintechのスタートアップが日米で誕生しています。

日本でもアメリカでも、証券業を営むにはライセンスの取得が必要です。そこで、それぞれのFintechスタートアップが取得しているライセンスをまとめてみました。

まずは日本から見ていきましょう。

お金のデザイン、One Tap BUY、ウェルスナビは第1種金融取引業のライセンスを取得していますが、その他のライセンスは全て同じというわけではありません。

アメリカの場合はどうでしょうか注1

※日本のFintechスタートアップについては2007年の法改正以降を調査対象としたため、米Fintechスタートアップの表では2006年以前に設立された会社は薄いグレーで表記をしています。

 

米国のスタートアップは、Broker Dealer(BD)とInvestment Advisor(IA)のどちらか、または両方のライセンスを取得しているようです。

また、日本の3件と比較すると、アメリカの方が証券業関連のFintechスタートアップの数がそもそも多いこと、Motifのように日本ではまだあまり馴染みのない、自分で作成したテーマに対して投資できる形態の証券会社が設立されていることも特徴的です(ちなみに、こちらの記事によると、日本でもFOLIO(フォリオ)がこのコンセプトに近いサービスを立ち上げようとしていますが、7月末の現時点ではまだ正式にスタートしていないようです)。

さらに、大手の証券会社が新しい証券会社をその技術に着目して買収する事例もあり、日本と比較すると金融にも産業のダイナミクスがあります。これは過去にこの記事で紹介したように、株式投資が日本に比べて非常に活発な米国固有のマーケット特性も関係していると考えられます。

ここからは、日本とアメリカ、それぞれについてもう少し詳しく見ていきましょう。

日本における証券会社の作り方

では、どうやったら証券会社を作ることができるのでしょうか(第1種金融商品取引業を営む業者を「証券会社」とします注2)。日本の場合、そのためには内閣総理大臣の認可を受ける必要があります注3 。そして内閣総理大臣は、拒絶理由に該当する事実がない限り、原則として申請者の登録を認めなければいけません。

拒絶理由には、すべての業務に共通するものと、個別に設けられている事項があります。共通事項には「登録申請書・添付書類等に虚偽記載などがある」、第1種には「株式会社、又は外国の法令に準拠して設立された同種の法人ではない」「自己資本比率が120%を下回る」などがあります。

拒絶理由がなければ登録されるとはいえ、簡単に登録できるものなら、もっとたくさんの証券会社が生まれているはずですよね。登録が認められるには、事業の適切性や財務の健全性などを事前に厳しく評価・検証されます。

アメリカにおける証券会社の作り方

先ほどの表に出てきたライセンスのBroker Dealer(BD)とInvestment Advisor(IA)を比べると、必要事項は共通するものもあれば、異なるものもあるようです。

たとえば、IA取得に登録が必要とされる組織は、SEC(Securities and Exchange Commission:米国証券取引委員会)、FINRA(Financial Industry Regulatory Authority)の2つです。

一方、BDの場合、上記の2つに加え、 SIPC(Securities Investor Protection Corporation)への登録が必要です。さらに、先物取引を扱う場合は、CFTC(Commodity Futures Trading Commission:米商品先物取引委員会)への登録が必要な場合もあるようです注4

まとめ

ここまで見てきたように、日本に限らず海外各諸国でも金融規制は複雑です。個人の資産を扱う証券業務、投資助言業務、投資運用業務については、個人の資産を守るために各国が様々なルールを作っています。

しかし、スタートアップ単体での打破が難しい規制や金融業界の事業化の部分を、スタートアップと大手金融機関がタッグを組んで行う取り組みも増えています。Alpacaが参加するMUFGアクセラレーターもその取り組みの一環で、Alpacaも事業化に向けて手厚い支援を受けており、金融機関の本気度が伝わってきます。

Fintechの波に乗って新たな技術やビジネスモデルを採用したサービスが生まれる中で、これまでのルールでは必ずしもカバーできない場合も今後さらに出てくると思います。既存のルールを調査して理解した上で、事業によって必要なライセンスを見極め、規制とうまく付き合いつつ、今後も画期的なFintechスタートアップが出てきてほしいと思います。

注1 米Fintechスタートアップ一覧における各企業の詳細については、各企業のウェブサイトをご参照ください。RobinhoodMotifBettermentWealthfrontCovestorTradeKingZeccoPersonal CapitalFutureAdvisorSigFig
注2 大和総研 横山 淳「金融商品取引業とは?」(『大和総研 金融商品取引法シリーズ-29 』2006年08月18日4ページ参照
注3 大和総研 横山 淳大「金融商品取引業の参入規制の細則案」(『大和総研 金融商品取引法シリーズ-60 』2007年06月27日2ページ参照)
注4 “FUTURES COMMISSION MERCHANTS (FCMS) & INTRODUCING BROKERS (IBS)

 

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