レビュー:テクノロジー株は上昇したが、世界的にはまちまちの1週間

先週(7月25日-7月29日)の主要国の株式市場は、ナスダック指数をはじめとする主力のテクノロジー株は堅調でしたが、欧州株はしっかり、S&P500はほぼ横ばい、上海株や日本株は下落するまちまちの展開でした。

米国FOMCの金融政策が維持されましたが、おそらくそれほど市場には影響はなかったと思います。むしろ、日銀の金融政策決定会合の結果が市場には期待はずれに終わったこと、米国4‐6月期実質GDP成長率が市場の予想を下回ったことが効いているのでしょう。米欧の長期金利が低下し、ドルが対円・対ユーロともに下落しました。シカゴの日経平均先物も金曜夜に日本の引け値を下回って取引を終えています。

さらに気になる動きとしては原油価格が下げ、貴金属が軒並み高く、理財商品の規制強化などで上海株が下げていることがあげられます。

物色動向としては業績に安心感のある銘柄、とくにテクノロジー株に資金が集まっているように思われます。アップル株は週間で+6%上昇し、アルファベット(グーグル)、アマゾン、フェイスブックなどもしっかり上昇しています。日本でも業績に安心感のある信越化学と日本電産が大幅に上昇しました。さらに過度の業績懸念が後退したスプリント株が+33%の急騰を演じ、ソフトバンク株も+6%上昇しました。

先週の主要市場の動き

注:現地通貨ベース、為替は円安がプラス、円高がマイナス

年初来の主要市場の動き

注:現地通貨ベース、為替は円安がプラス、円高がマイナス

アウトルック:為替の動きを睨みながら好業績株が買われるか

今週(8月1日-5日)は中国の製造業PMIや米国の雇用統計などのマクロ指標などに注目が集まるでしょう。日本の経済対策の発表も控えています。

しかし最大のポイントは、為替相場の新しい均衡点を探す動きでしょう。日銀は9月にこれまでの金融政策の実績を本格的にレビューすることになりました。しかしこれが更なる異次元緩和につながるかどうかを見極めるにはいまから2カ月という期間は長く感じられます。米国の利上げの見通しが後退するなかで、円相場の落ち着きどころを探す神経質な展開になると予想します。但し、円高による日本株の下落時には日銀のETFの買い支えなど公的資金の買いが期待できそうです。

景気足踏み、低金利継続、追加金融緩和の動きがなくなったいま、株式市場は個社の業績頼みになってきました。グローバルスタンダードを握る米国のテクノロジー株が好業績を背景に物色の柱になるか、注目したいと思います。

最後になりますが、欧州および中国の金融システムの安定性には引き続き注意を払っておくべきでしょう。欧州の銀行株の動き、中国の金融システムの動向にも注意が払われると思われます。

LIMO編集部