大底から回復過程にあるマツダの株価、今後の動向は?

円高リスクが払拭できないのも“マツダらしさ”の1つ

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マツダは自主独立の資本政策を掲げる中堅自動車メーカー

三菱自動車(7211)が一連の燃費不正問題に伴い、日産自動車(7201)の傘下に入ったことで、自動車メーカーで“完全な自主独立”の資本政策を掲げているのは、ホンダ(7267)、スズキ(7269)、マツダ(7261)の3社だけになりました。

この3社はそれぞれに特色がありますが、走行性能とデザインを前面に打ち出して、主に海外で勝負しているのがマツダです。もちろん、国内でも存在感を示しています。

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国内外で高い評価、数々のアワード受賞に輝く

実際、国内外におけるマツダに対する評価は高いものがあり、自動車ジャーナリストが選定する数多くの賞に輝いてきました。

最近では、2015年に発売した新型ロードスターが、「2015-16日本カー・オブ・ザ・イヤー」、「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」、「 ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」と、メジャー・タイトルを独占しました。特に、後者の2つは世界中のクルマの中から選定されており、特筆すべき受賞と言えましょう。

マツダのクルマには、言葉では言い表せないような魅力があります。実は、筆者もマツダ車に乗っていますが、運転していると、ハイブリッド車や電気自動車では味わえない躍動感があります。同じように感じているマツダファンは多いと思われます。

過去には何度も経営危機を乗り越えてきた

しかし、そのマツダの経営・業績に目を向けると、少し違った一面が見えてきます。詳細を話すと非常に長くなるので簡単に言うと、様々な歴史的経緯から、マツダは海外現地生産に大きく出遅れました。必然的に輸出比率が高くなり、円高の影響を大きく受ける収益構造になっており、円高のたびに業績悪化を強いられてきました。

しかも、単なる業績悪化ならまだしも、過去に何度も深刻な経営危機に直面しています。おそらく、経営危機に直面した回数では、自動車メーカーの中で最も多いと言えます。マツダの歴史は、円高と経営危機との闘いでもありました。

Q1決算実績は円高環境下で予想以上に健闘

さて、そのマツダが7月29日に2017年3月期の第1四半期決算を発表しています。実績は、売上高が対前年同期比▲4%減、営業利益は▲2%減、四半期純利益は▲42%減という結果でした。

円高の影響を大きく受けたものの、海外市場で「CX-5」等の販売好調等により、小幅な営業減益に止めた形です。ただ、税金費用の増加等により、最終損益は大きく落ち込んでいます。いろいろな見方はあるでしょうが、かなり健闘した結果と言えるのではないでしょうか。

円高による業績悪化リスクは払拭できず

しかし、市場の投資家が注目していた2017年3月通期の業績予想(会社予想)は、従来予想を据え置きとなりました。為替レートの前提も110円/ドルと125円/ユーロのままでした。

足元の為替相場を勘案すると、評価できるかどうか、非常に微妙なところです。Q1実績はポジティブに評価するが、この為替前提では今後の下方修正リスクは残るのではないか?というのが大方の見方ではないでしょうか。

期待と懸念が交錯しながら、株価は緩やかな回復基調へ

週明け8月1日の株式相場において、マツダ株は先週末比+2.5円高(+0.2%上昇)の1,550円で前場を引けています。寄り付きは1,500円を割り込んでいましたが、徐々に切り返して先週末比プラスに漕ぎ付けました。期待と懸念が交錯した動きと言ってよいでしょう。

マツダ株は年初から下落が続き、特に、英国のEU離脱が決まった6月24日以降は下げが加速して、7月8日には年初来安値1,208円を付けました。これは、2015年末比で見ると半値以下の水準でしたが、それを大底に緩やかな回復の過程にあります。

残念ながら、今回のQ1決算は株価の上昇を一層サポートするには至らなかったようですが、この先もまだまだ目が離せない銘柄の1つと考えられます。数々の試練を乗り越えてきたマツダの業績動向にも注目したいところです。

 

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。