株式市場で認定されているのは業績相場と金融相場のみ

あっという間に8月になりました。先月7月の株式相場は、なかなかエキサイティングな展開でした。その牽引役が任天堂(7974)のゲームアプリだったため、いつしか“ポケモノミクス相場”と称されるようになったのはご承知の通りです。

株式市場の悪い癖の1つに、何か大きなサプライズがあるとすぐ“〇〇ショック”と命名したり、今回のような大きな動きがあるとすぐ“〇〇相場”と言ってみたりすることが挙げられます。確かに、大衆受けすることは確かですが、その場限りの一時的な名称で終わる例も少なくありません。

実は、株式市場で正式に“認定”されている相場の名称は、今も昔も「業績相場」と「金融相場」の2つだけです。これ以外の“〇〇相場”という呼称は全て造語と考えていいでしょう。では、業績相場、金融相場、それぞれどういう意味なのでしょうか。

業績相場とはどのような相場か

業績相場とは、企業の業績好調が評価されて株価が上昇する相場です。簡単に言うと、企業業績が好調になる、つまり、利益が増大すると、1株当たりの利益や純資産が増加してきます。すると、現状の株価ではバリュエーション(PERやPBR)が安くなるので、バリュエーションが“適正水準”に戻るために株価も上昇するということです。

しかし、実際の相場は、これほど単純には動かないケースが多く、また、“適正水準”の考え方にも幅があります。ただ、基本的な考え方は、企業業績の拡大に伴って株価が上昇するということになります。

金融相場とはどのような相場か

一方の金融相場とは、金利低下(金融緩和)や企業の設備投資の手控えなどによって、行き場のなくなった資金が株式市場に流れ込んで、株価が上昇する相場です。企業の業績とは関係なく、余剰資金による運用先(投資対象)として、株式が評価されることになります。

その余剰資金が大量に流れ込んでくると、想像を超えた大相場に発展することも珍しくありません。1980年代後半に日本で起きたバブル経済は、正しくこの金融相場から始まったと言えます。

金融相場の後に業績相場が到来する

そして、重要なことは、金融相場は不況下に起きるケースが多いということです。よく「不況下の株高」と言われますが、これは、不況を克服するために、政府や中央銀行が資金を市場(民間)に供給するものの、使い道のない資金が株式運用に回るために起きる現象を意味します。

もう1つ重要なことは、金融相場の後に業績相場が到来することです。金融相場⇒業績相場という順番です。政府や中央銀行が市場(民間)に資金を供給した場合、それが企業の設備投資として使われ、その(購入した)設備によって利益が生み出されるまでには、相応のタイムラグが発生するためです。

アベノミクス相場は金融相場と業績相場を同時に発生させたのか?

さて、現在の安倍政権と日銀が実施した大規模な金融緩和によって、既に金融相場は実現しました。別称“アベノミクス相場”です。そして、タイムラグを経て、これから業績相場が実現するとも言われています。

しかし、大規模な金融緩和が想定以上の円安を招いたため、輸出関連企業はタイムラグを経ないで業績が拡大しました。また、円安により訪日外国人旅行客が激増したため、小売業などの一部の内需関連企業も、タイムラグを経ないで業績が拡大してしまったのです。

業績相場の後に来るのは景気後退

さきほど、「金融相場⇒業績相場」という順序をご紹介しましたが、この順序には続きがあります。業績相場の後は「景気後退」、または「不況」です。この景気後退は長引く場合もあり、時には、大きな危機となる場合もあります。その代表例がリーマンショックでしょう。

現況に関しては、“既に景気後退局面に入った”という見方、“まだ本格的な業績相場が続く”という見方、様々です。判断は難しいところですが、仮に、業績相場が続くとしても、それが最終局面に近づいていることは確かでしょう。備えあれば憂いなし、そろそろ準備をしておくことが必要かもしれません。

 

LIMO編集部