バック・トウ・スクール商戦を前に台湾の輸出が回復。日本は?

日銀の金融政策も大事だが、実体経済にも目を向けたい

キュレーターから読者に伝えたいポイント

9月末に予定される日銀の「総括的な検証」に関しては、聞き飽きるぐらい様々な議論が繰り広げられています。しかし、むしろこれからの相場にとって重要なことは、実体経済の動向や企業業績ではないかと考えられます。

今回は、ハイテク大国である台湾の輸出動向や、日本の株式市場のコンセンサス業績予想に関する記事をピックアップし、今後の相場を考えてみました。

バック・トゥ・スクール商戦に向けて生産回復の兆しが

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「バック・トウ・スクール」という言葉をご存じでしょうか。日本での新学期は4月からですが、米国では9月から始まるため、例年8月末から9月にかけてのこの時期は、クリスマス商戦に次ぐ消費の重要なイベントとなっています。また、この商戦は学生向けであることから、パソコンやその関連製品(増設メモリーなど)の需要動向にも大きな影響を与えます。

こうした観点から注目されるのが、2015年後半から長期間にわたりマイナス成長が続いていた台湾の輸出が、今年7月に久しぶりにプラス転換したというニュースです。台湾はパソコン関連製品の輸出大国ですので、バック・トウ・スクール商戦に向けて、米国の小売店サイドが発注を増やした(在庫の積み増しを行った)可能性が読み取れます。

今後は、バック・トウ・スクールが期待通りに盛り上がり、小売店が過剰在庫を抱えず済んだかどうかもウオッチしながら、年末商戦に向けての回復の持続性に注目していきたいと思います。

出所:台湾、輸出がようやくプラスに転じる(ピクテ投信投資顧問)

バリュー株が見直される背景は業績の改善期待

一方、日本の株式市場に目を転じると、そこでも今後の業績回復を期待した動きが見られます。この記事によると、米景況感改善、エネルギー市況回復、円高一巡感などを背景に、今後1年先の市場全体のEPS(一株当たり利益)予想は二桁の増益になってきたとのことです。

また、上述のEPSを前提とした予想PERは12倍前後と割安な水準となっています。それが、最近のバリュー(割安)株の見直しの一因になっているようです。

以下の記事では、配当利回り、PBR(株価純資産倍率)、今期予想PER(株価収益率)、今期予想増益率、来期予想増益率をもとに、割安感のスクリーニング結果も示されています。具体的には、三井物産(8031)、住友商事(8053)、日産自動車(7201)、デンソー(6902)、日本たばこ産業(2914)などが挙げられています。

いずれも大型株であり、比較的流動性が高い一方で、短期的な値動きは小型株に比べると激しくない銘柄が多いようです。そのため、コツコツと時間分散しながら投資していくとよいかもしれません。

出所:バリュー株に出遅れ修正の兆し(楽天証券)

日銀の「総括的な検証」は相場の転換点になるのか

現在、日本の株式市場で最も注目されているイベントの1つが、9月21日の金融政策決定会合の声明文とともに公表予定の日銀の金融政策に関する「総括的な検証」の発表内容です。株式市場では、変化はない、というものから、新たな追加的な金融緩和策が講じられる、あるいは反対に緩和策の打ち止めが宣言されるなど、様々な憶測が繰り広げられています。

もっとも、既に株式市場では、これまでの日銀による量的・質的金融緩和が限界に近付いていることや、新たな政策の選択余地も狭まっていることはコンセンサスとなっていると思われます。

この記事では、市場との対話を重視して政策の整理に重点を置いた「無難な内容」となる可能性が指摘されていますが、それがネガティブサプライズとなる可能性は低いのではないかと考えられます。

出所:1か月後に控えた日銀の「総括的な検証」を占う(投信1)

 

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。