【就活生】就職前に身に付けておきたい3つの金融常識

分散投資、レバレッジ、複利について知っていますか?

就職活動が終了し、一段落ついている学生の方もいると思います。また、まだ自分に合った就職先を追い求めている方もいると思います。憧れの大企業やベンチャー企業に就職が決まるのは喜ばしいことですが、一方で希望の会社に入社しても、3年以内にある一定割合で離職してしまうという現実もあります。

入社後に研修を受けた同期が次々に辞めてしまうのを見るのは寂しいものです。ただ、入社してみないと分からないこともありますし、同じ会社でも配属先で雰囲気が大きく異なるケースも少なくありません。現在就職活動中の学生の皆さんには、ぜひとも納得のいく就職活動をしてもらいたいものです。

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さて、今回は2017年春に社会人になる学生向けに、最低限身に付けておきたい金融基礎知識をまとめてみました。

その1:「卵は一つの籠に盛るな」を理解して上手に使おう

「卵は一つの籠に盛るな 」とは、リスク分散をせよという意味合いの投資の格言です。そもそもの意味は、籠にすべての卵を入れておくと、万が一誤って籠を落とした場合に全部割れてしまう可能性が高くなるので、それは避けましょうということです。

自分が就職した会社が大好きだから、従業員持ち株制度を活用して自分の全財産を投じて自社株を買うということも同じでしょう。自分が勤める会社に絶大な自信があれば別ですが、不祥事で経営が立ち行かなくなったり、業績の悪化で株価が大きく値下がりしたりすることがあるかもしれません。世の中、何があるかわかりません。どんなに愛社精神があったとしても、投資をするかどうかは冷静に見極めましょう。

では、資産運用において国内外の株や債券などに広く分散投資をしていれば大丈夫かというと、実はそうでもないというのが現実です。リーマンショック時に国内外の株式が暴落したのは仕方ないにしても、安全資産として頼みにしていた債券のうち、特に外国債券が円高のため資産価値が目減りしてしまったということが起きました。そのため、分散投資していたはずなのに、全く分散した意味がないではないかというツッコミがあちらこちらから入ることになりました。

こうしたケースもあるので、手練れの投資家になると、世の中に確実なものなんてそんなにないのだから自分が自信のある投資先には思い切り投資をして分散をすべきでないという人も出てきます。世界でも著名な投資家ウォーレン・バフェットがその1人です。

「オール・イン」といって、自信のある企業であれば株式の一部だけではなく、丸ごと買ってしまうというパワープレイまで見せることすらあります。ただし、こうした投資行動ができるかどうかは、自分がその投資先にどこまで自信を持てるか次第です。したがって、投資先はよく見極めたいものです。

その2:レバレッジの長所短所とは

レバレッジと言われても、ピンとこない人の方が多いと思います。理科で習った「てこの原理」を思い出してください。小さな力でも重いものを動かすことができるという原理です。金融では、自分の持つ資本(自己資本)に加え、その信用をもとに外部から資金を調達(借入)することを「レバレッジをかける」といいます。住宅ローンも身近なレバレッジの1つですし、株式投資の信用取引も立派なレバレッジです。

レバレッジは、信用を利用して手持ち資金以上の資産で運用できることが魅力です。ただし、レバレッジには怖さも存在します。レバレッジをかけて投資した資産評価が目減りすることで、その評価減部分を自己資本だけでは賄いきれなくなるという状況が発生する場合もあります。

たとえば、株式投資で信用取引を行い、資産の目減りが生じた場合には追証(おいしょう)が生じることがあります。追証とは、資産評価減により「追加で証拠金を差し入れる」ことです。手元に追証に対応できる資金がなければ、資産運用はそこで終了となります。レバレッジをかける際には、自分がどのような資産に投資をしているのかを慎重に吟味する必要があると言えます。

その3:複利のすばらしさを知る

”1年限定の20%のリターンの金融商品”と”毎年2%リターンがあり、かつ、そのリターンを含めて10年間継続して運用される金融商品”はどちらが魅力的でしょうか。これは時間軸が異なるので一概に比較できないという人もいるでしょうが、間違いなく後者です。後者の金融商品のポイントは、複利で運用される金融商品だということです。10年後には元本に対して約22%のリターンがあることになります。

こう言うと、1年で20%のリターンを得た後にまたリターンの高い投資をする方がよっぽど効率的な投資なのでは、という方もいるかと思います。確かに1年で見ればそうなのですが、1年後に現金を回収した後に別の投資機会を探さなくてはなりません。その際、また良い投資機会に巡り合えれば幸いですが、必ずしもそうした機会が存在しているとは限りません。

プロの投資家は四六時中投資機会を探しているので、毎年毎年投資先を選択することも難しくないでしょう。しかし、日中は仕事に追われるサラリーマンや長期で資産形成を行いたいという投資家層の場合は、安定的に複利で資産を増やしたいというニーズはあるはずです。複利のすばらしさは長期で見ると実感できるのですが、単年ごとではその良さに気づきにくいことが多いかもしれません。

まとめ:若いうちは自分への投資が大きなリターンを生む

ここまで金融の基礎知識と資産運用についてご紹介してきました。しかし、社会人になったばかりで特に大きな額の金融資産を持たない状況では、資産運用を強く意識する必要はありません。

たとえば、社会人3年目でコツコツためた貯金が100万円で、それが全金融資産だとします。全財産を株式に投資をし、その運用が成功して資産が1年で倍になったとします。金融資産は200万円となり、100万円分が超過収益です。資産運用で全金融資産が倍になること自体めずらしいですが、もし倍になるのであれば嬉しいことに変わりありません。

ただし、ここで注意が必要です。仮に元手の100万円を使って資格を取得したり外国語を身に付けたりしたらどうでしょうか(100万円だと海外留学は難しいですね)? 入社3年目でも転職などを経ることで給与が年間で100万円以上増えることもあります。そして、転職先でスキルが認められれば、上昇した給与水準を維持することも可能でしょう。

ところが、資産運用では今年うまくいっても来年もうまくいくとは限りません。下手をすれば、将来元手を減らしてしまうこともありえます。こうしたことを考えると、若いうちは自分への投資を真剣に検討する方が投資効率は良いかもしれません。

 

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。