株式市場の振り返り-円安を好感して反発、商いも3週間ぶりの水準へ回帰

2016年8月31日(水)の東京株式市場は反発となりました。日経平均株価は前日比+1.0%の上昇、TOPIXも+1.3%の上昇で引けています。また、新興株式市場の東証マザーズ総合指数は+0.5%上昇する3日続伸となりました。

日経平均株価は、103円/ドルの円安進行を受ける形で前日比+132円高で寄り付きました。その後はやや上値が重くなり、前場の半ばには+111円高まで上げ幅を縮小しましたが、後場は再び買いが優勢となり、終盤には一時192円高となる場面が見られました。大引けに掛けて売りに押されましたが、最後は+162円高の16,887円で終わっています。

東証1部で上昇したのは1,459銘柄、値下がり404銘柄、変わらず108銘柄でした。東証1部の出来高は20億8,928万株、売買代金は2兆2,045億円(概算)となっています。売買高は8月8日以来の20億株となり、売買代金も8月9日以来の水準となりました。

セクター動向と主要銘柄の動き-29業種が上昇、前日に続き電子部品株が堅調に推移

東証1部で上昇したのは29業種、下落したのは4業種でした。上昇率の上位には、銀行や証券など金融関連が並び、原油関連及び一部の内需関連も目立ちました。逆に、円安にもかかわらず、輸出関連業種の上昇は限定的だったようです。他方、下落した業種は医薬品、小売りなど内需関連となりましたが、医薬品の下落が顕著でした。

個別銘柄では、ファナック(6954)、ダイキン工業(6367)、JT(2914)などが大幅高となり、指数上昇に寄与しました。また、前日に続き、村田製作所(6981)、ローム(6963)、TDK(6762)、京セラ(6971)などの電子部品株が値を上げています。電機株では東芝(6502)やシャープ(6753)などの低位株の上昇が目立ちました。一方、ローソン(2651)と良品計画(7453)がいずれも年商来安値を更新し、ファミリーマート(8028)やニトリホールディングス(9843)などの小売株も値を下げて終わっています。その他ではKDDI(9433)も安く終わりました。

東証マザーズ市場の動き-目立った材料がない中で、総合指数は引けに掛けて切り返し3日続伸

東証マザーズ総合指数は、前場の序盤以降はマイナス圏に沈む展開が続きましたが、後場の半ばから切り返し、大引けは900ポイントを回復して終わり、しぶとく3日続伸となりました。また、出来高は5,002万株、売買代金は685億円となり、いずれも前日より大幅増加となっていますが、水準自体は低いままです。なお、騰落状況は、値上がり111銘柄、値下がりは101銘柄、変わらず9銘柄となりました。続伸となったものの、閑散相場を打破するような物色テーマや材料が欲しいところです。

個別銘柄では、そーせいグループ(4565)、アンジェス MG(4563)、アキュセラ(4589)など医療バイオ関連銘柄が不振に終わりましたが、グリーンペプタイド(4594)がストップ高になるなど、一部銘柄に大きな値動きがありました。また、株価の下落基調が続くCYBERDYNE(7779)は+5%に迫る上昇となり、底打ちの期待が高まっています。なお、前日にストップ高だったASJ(2351)は小幅反落でした。全体的には、新興市場らしいダイナミックな値動きはほとんど見られなかったようです。

本日(9月1日)の注目点-雇用統計の結果待ちの様子見スタンスが強まる可能性

今週末(現地時間2日)に米国の8月雇用統計が発表されるため、月初1日(木)はそれを待つ様子見スタンスが強まる可能性が高いと考えられます。こうした商いが薄くなる時は、短期筋が揺さ振りを仕掛けてくるタイミングに該当します。取引時間中に粗い値動きが起きることが考えられますが、そういった動きに付いて行かないことが重要となるでしょう。

そもそも、米国の雇用統計発表は、株価には直接影響を与えるのではなく、まず為替相場に直接的な影響を与えます。日本では雇用統計の見通しを語る市場関係者が少なくありませんが、正確に予想できる人などいるはずがありません。そういった根拠のない予想に惑わされないようにしましょう。しかも、過去を振り返ると、雇用統計の結果は事前予想とかなり異なる場合が多く見られています。

青山 諭志