アナリストいち押しの9月の注目銘柄と投資戦略

2016年も9月に入りました。今年もあと4か月といったところです。株式市場はにわかに円安に動き出したことで、これまで軟調だった輸出関連株が動き出しています。ところが9月最初の取引日は内需関連株が高騰するなど、非常に読みにくい展開からスタートしています。長期で資産形成を目指す方、また短期でしっかりパフォーマンスを積み上げていきたい方にとっては投資戦略は異なってくると思いますが、足元の株式市場の期待値をしっかりと理解していきたいところです。

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9月は多くの上場企業の上期決算がしまることや、運用会社のパフォーマンスも意識される月です。市場参加者の多くの期待と思惑が入り乱れるタイミングだということもあります。株式市場を丁寧に分析していくことが必要です。

今回は、投信1編集部が株式市場で長年調査経験のある投資家向け金融経済メディア Longine(ロンジン)のアナリストに、この9月にどのような銘柄やテーマに注目しているか、またどのような投資戦略をとっていけばよいかについて聞いてみました。

9月の株式投資戦略

投信1編集部(以下、投信1):株式市場を見ると9月は様々なイベントがあり注意をしなければならないということですが、どのような点に気を付ければよいでしょうか。

泉田良輔Longine編集委員長(以下、泉田):9月単月で見れば、月末にかけて為替も含めて投機的な動きを意識した神経質な相場展開をメインシナリオとして持っていおくべきでしょう。

9月下旬にかけて、日銀の金融背策決定会合や米国FOMCがひらかれるなど重要な金融政策のイベントが目白押しです。更なる金融緩和を画策する日銀と金利を引き上げたい熱量が高まる米国中央銀行による円安予想派と、そんな簡単に日銀も金融緩和できず米国も利上げができないのではという現状維持派が駆け引きをすることになると思います。

したがって、9月20日近くまでは為替も株価ももみ合う展開を続け、日米両国の金融政策決定会合以降はそれぞれの金融政策における意思決定のマグニチュードに応じた展開がされるというシナリオです。

投信1:読みにくい展開ですが、どのような投資戦略をとればよいでしょうか。

泉田:これはそもそも論になるのですが、為替動向に収益体質がそれほど影響されない銘柄を日頃から引き出しに持っておき、そういった銘柄が為替レートの変動により大きく売られた場合にはコツコツ拾っておけるようにしておくというのが基本スタンスです。その中でも、やはり意識しておきたいのはリーマンショックでも赤字にならずそれ以降も確実に利益を拡大してきた銘柄です。そうした企業にはしっかりとしたビジネスモデルが確立されていることが多いですから、今後も事業を拡大させる可能性は高いでしょうし、仮に景気が弱くなっても安心して買い増せます。

投信1:具体的な銘柄をお願いします。

泉田:株価上昇率が高かった銘柄例としては日本電産(6594)やニトリ(9843)ですが、それ以外にもたくさんありますから、ご興味があれば「リーマンショック以降も着実に収益を上げ続けた30銘柄」を参考にしてください。

投信1:今後を考える際に注目すべき点を教えて下さい。

泉田:アベノミクスをテーマとする時期はとっくに過ぎています。日銀のETF購入などを受けて、外国人投資家からすれば「日本の株式市場が需給面でバブっている」と見られていると考えています。そうした前提もあると思いますが、海外のレポートで個別事情に言及してるものの、CYBERDYNE(7779)や伊藤忠商事(8001)などがやり玉に挙がっています。繰り返しになりますが、日本株全体を議論するよりもより個別銘柄を意識する状況かと思います。

一方、どうしても意識せざるを得ないのは年末にかけての米国大統領選挙やロシア大統領の12月訪日予定などでしょうか。製薬メーカーやエネルギー関連企業にとっては大きなイベントになるはずです。

為替レートが円安に動いている中の注目輸出関連銘柄は

投信1:為替レートが円安に動いています。自動車関連株は輸出関連株としての中心銘柄だと思いますが、自動車・自動車部品を担当している持丸アナリストどのように見ていますか。

持丸強志アナリスト(以下、持丸):円安で完成車メーカーの株価も動いていますが、注目すべきは部品メーカーです。完成車メーカーの株価に対して出遅れることがありますので、そうした銘柄をしっかりと拾っていくことが肝心です。また、部品メーカーは私が以前からLongineで繰り返しコメントしているように業界再編も今後活発化してくると思います。その際に、再編で中心的な役割を担える会社をコアとして保有するのが良いでしょう。

投信1:具体的にはどのような銘柄でしょうか。

持丸:詳しくはLongineに寄稿している推奨銘柄記事を読んでいただきたいのですが、自動車の電装化が進んでもその企業の役割がより重要になる企業です。

技術変化は相場が見通しにくい時の鉄板投資アイデア

投信1:技術変化により注目できる企業はありますでしょうか。化学セクターは材料から技術変化を支える日本企業が多いですが、いかがでしょうか。

石原耕一アナリスト(以下、石原):ズバリ、関東電化工業(4047)です。

投信1:それはなぜでしょうか。

石原:電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の話題が私のこれまでの経験からすれば熱量が高まってきているとおもいます。今後実需はしっかりと確認していくという前提ですが、そのテーマでは材料メーカである関東電化工業には注目しています。詳しくは「関東電化工業(4047)の株価はなぜ堅調か? まだ買えるのか」を見ていただきたいのですが、良いポジションにある企業といえます。

現状のような相場で気を付けておきたいこと

投信1:買いのチャンスだけではなく下値という観点から気を付けるべき銘柄があれば教えてください。

和泉美治アナリスト(以下、和泉):当然ながらバリュエーションが高い銘柄には気を付けておくべきでしょう。たとえば、「JIG-SAW(3914)はIoT関連銘柄だがやや買われ過ぎの印象」でもコメントしたのですが、IoTというテーマには非常に期待が持てるのですがテーマだけが先行している印象もあります。テーマが先行する銘柄は株式市場での興味がなくなると急激に株価が下落することがあります。業績寄与を確認しながら調査を進めていくべき銘柄といえます。

投信1:ありがとうございます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。アベノミクスによる右肩上がりは期待できなくなりました。ポスト・アベノミクスを考える際には個別銘柄を意識せざるを得ません。ぜひ企業個別の強さや産業構造の変化に注目していきたいものです。

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以上、投信1編集部がLongineのアナリストに現在の日本の株式市場と注目銘柄について伺いました。

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。